【本の感想】『セールスフォース・ドットコムの挑戦 世界は顧客が変える』日経ビジョナリー経営研究所編
一時帰国中、図書館やスタバのある蔦屋書店に入り浸り、ここぞとばかりに読書をしています。
それ以外やることがないのか、と自分にツッコミたくなるくらい(笑)。
北京でも、日本語の本を読みたければ、
日本倶楽部の図書館を利用したり、いっそ電子書籍で購入したりして楽しむことはできます。
私は、どちらもやっていないので(汗)。
今回読んだのはこちら。
『セールスフォース・ドットコムの挑戦 世界は顧客が変える』日経ビジョナリー経営研究所編 日経BP社
セールスフォース・ドットコムという会社については全く知りませんでしたが、
この本の評判が良いと聞いて、興味を持って読んでみました。
セールスフォース・ドットコム(日本公式HP)→Salesforce - セールスフォース・ドットコム
CRM(Customer Relationship Management、顧客管理)のプラットフォームを提供している、シリコンバレーに本社を置く企業です。
同社が一番大事にしているのは、顧客。
「当社は技術の会社ではない。技術で顧客のために役立つ会社だ」とのCEOの言葉が全てを表しています。
この本には、セールスフォース・ドットコムという会社の説明が具体的に述べられているのではなく、
同社が手掛けること全ては顧客のため、という観点から複数のエピソードが書かれています。
それは、同社のサービス(導入からアフターサポートまで全てにおいて)に限りません。
今やアメリカ国内外から約17万人もが参加するという、自社イベント「Dreamforce」も、顧客のため。
Dreamforceには、メリンダ・ゲイツをはじめ、ラッパーのウィル・アイ・アム、XのYOSHIKIまで、業界の垣根を越えて著名人が登壇しました。
その意義とは、新しい常識を生み出すこと。
予想外の展開は、多様な意見をもたらします。アーティストが別の角度から意見を述べたりパフォーマンスをしたりすることも、さまざまな気付きを参加した顧客に与えることにつながる、のだそうです。
その他印象的だった点;
- 今や゛The Age of Customer”‐顧客の時代。顧客の声、ニーズによりビジネスが生まれる。
かつては、情報は企業から与えられるものだったのが、ネットの普及によって、消費者が簡単に情報を集めることができる。もはや、企業より顧客の方が情報を持っている。 - 顧客ニーズを捉えることができれば市場を奪える。顧客ニーズに応えた企業が勝つ。
例)Uberの登場。Uberize(ビジネスモデルが全く異なる企業が参入して、既存の業界が変わること)という言葉を生んだ。
※先に読んだちきりんさんの『マーケット感覚を身につけよう‐「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法』と重なる部分がありました。 - ”購読型”ビジネスモデルをいち早く採用。
- 社内の透明化も重視しており、幹部のマネジメントミーティングを動画に録画し、社員はいつでも会議の内容を動画で見ることができる。
- AIを活用し、さらに顧客のためになる技術を開発中。
本書の中で何度も出てきたのが、セールスフォース・ドットコムが日本市場を非常に重視していること。
創業2年目に日本法人を作り、日本でも顧客をどんどん増やしているそうです。
本書の後半には、日本におけるセールスフォース・ドットコムの導入企業の代表者のインタビューが載っていました。
老舗旅館「陣屋」さんの例はかなり画期的で驚きました。旅館の働き方をこんなに変えることができるなんて、思いもよらなかったので。
導入企業の一つである、サトーホールディングスのCEOの方の言葉。
゛客のニーズが変わったとき、「うちはこれしかできません」というスタンスをとった時点で、「もうここはイノベーションができない」と失望され、他の安いサービスに流れる。”
こういう、従来のスタンスに固執し続ける企業、日本にはまだまだ多いと思います。
今はそれで売れていても、遅かれ早かれ、他に取って替わられてしまう。
そういう可能性を鑑みて、イノベーションを興していける企業が、これから生き残っていくんだろうなと、最近の読書で感じました。
そして、私の場合ですが…
日本で同じ企業で働き続けていたならば、得られなかったであろう視野や考え方が、
海外で働くという経験により、日々得られていることの幸せ。
日本を外から見ることのできる大切さ。
日本で当たり前だったものに対して、違う角度から見たり考えたりすることができるようになる力。
海外転職をして、本当に良かったと思っています。
しかし、海外に染まりきってしまうのはどうかと思うので(中国だし…(笑))、
読書や人の話を聞くことなどによって、インプットは怠らないようにしていたいです。
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