ネパールを舞台に、イマドキ中国女性の成長を描く映画『等風来』
2013年の中国映画『等風来』。
倪妮(ニー・ニー)という好きな女優さんが主演で、「等風来」というタイトルが良いなぁと思って観てみました。
『等風来』(2013年中国)
監督:滕華涛(タン・ホアタオ)
出演:倪妮(ニー・ニー)、井柏然(ジン・ボーラン)ほか
上海で雑誌社のグルメ記事編集者として働く程羽蒙(倪妮)。地方から上海に出てきた彼女は、一見華やかであか抜けた自分を演じながら、内心では窮屈さを感じながら虚勢を張って生きている。
イタリア出張を希望していたが企画から降ろされ、全く興味のないネパールへの取材を命じられた程羽蒙は、仕方なくネパールへ向かう。
ネパールでは他の中国人団体旅行客と行動を共にする。
その中にいた若い男性、王燦(井柏然)は、周りの和を乱す金持ち息子。
ぶつかり合う程羽蒙と王燦、しかしネパールの地でさまざまな出来事に遭遇しながら分かり合っていく…。
タイトルの「等風来」(風が来るのを待つ)という意味が、ラストに分かり余韻を残します。
主人公の程羽蒙は、都会でもがき働く若い女性。ネパールの地を舞台に彼女の成長を描きたかったのだろうけれど、いまいち説得力に欠けました。
ネパールには行ったことがなく、以前から行ってみたいなぁと思っていますが、なんだかうまくネパールの魅力を伝えきれていないように見えてちょっともったいなく感じます。
団体の中国人のおばちゃん達が、うるさくて、文句が多くて、自分本位で…といった、まさに海外で嫌われる中国人団体客の描かれ方で、監督の皮肉な思惑を感じました(笑)。まあ、これも後半にはちょっと変わりますが。
とかなんとか、個人的に気になったことを挙げましたが、全体的には好印象の作品だったかな、と思います。
旅行先で出会う男女が恋に落ちて…というような、簡単に想像がつく展開ではなかったのも良かったです(笑)。
日本とは比べ物にならないくらい、都会と地方の格差が根強い中国。都会にしがみつき奮闘する主人公の姿は、多くの人の共感を得たのではないかな、と予想します。
ヒロインを演じた倪妮、個性的で存在感のある女優さんだと思います。中国のユニクロのイメージキャラクターにもなっています。
ただ、この役は、彼女に限らず他の女優が演じても大差なかったのではないか…と思ってしまいました。それくらい特徴のないヒロイン設定でした…。
『匆匆那年』みたいな、彼女の存在感が光る作品をこれからも観たいです。