動画アプリの愛奇藝(Aiqiyi)で映画鑑賞。
日本で観られる中国映画やドラマも増えてきましたが、中国語×中国語字幕でできるだけ観ておきたいのです。日本語を介さない方が、すっとそのまま入ってくる気がして。
今回は、チャン・イーモウの名作『妻への家路』を。
私はまた泣かされましたよ…。最近何の映画を観ても泣く…『僕のワンダフル・ライフ』を観ても泣き、映画館で『ボヘミアン・ラプソディ』を観ても泣き💧年かな(-_-;)
『妻への家路』(2014年中国)
原題『帰来』《归来》
監督:張藝謀(チャン・イーモウ)
出演:鞏俐(コン・リー)、 陳道明(チェン・ダオミン)ほか
公式サイト(日本)
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文化大革命の時代。知識人の夫、陸焉識(ルー・イェンシー、陳道明)は拘留され、家族と引き離される。
陸には妻・婉玉(ワンユー、鞏俐)と、ダンサーを目指す娘の丹丹(ダンダン)がいた。 婉玉は何年も夫の帰りを待ち続ける。
文革が終わり、陸はようやく帰宅し、待ち望んだ妻との再会を果たす。しかし、婉玉は心労のあまり、精神的な病を患っていた。記憶障害となり、夫のことだけが思い出せなくなっていた。
自分を認識できない妻に、どうにか自分を思い出してもらいたい陸。妻の記憶を呼び戻すために奮闘するが、婉玉は隣にいる男性が夫だと気付かないまま、陸の帰りをただひたすら待ち続ける…。
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時代に翻弄された家族の物語。誰よりもお互いを必要としているのに、すぐ隣に愛する人がいるのに、心を通い合わせることができない。
隣にいる妻に寄り添い、妻の記憶が戻ることを願い支え続ける夫。
夫の帰りをひたすら待ち続け、夫が手紙に記した「5日に戻る」という文面を信じ、毎月5日に駅に夫を迎えに行く妻。その妻の隣には、夫がいる。自分を迎えに行く妻に付き添って、毎月駅に行くのだ。
こんなにも純粋なのに報われない、切ない物語。
静かに静かに、切なく時間は過ぎていく。夫婦それぞれの思いを想像すると、やりきれなくて悲しくて、涙がこぼれました。観終わった後もしばらく余韻が消えなくて。
夫も妻も、そして娘も、誰が悪いわけではない。時代に翻弄された一組の夫婦、一組の家族。
こんな映画を作れるチャン・イーモウってすごい。改めて思いました。
でも、この時代、"普通の幸せ"を享受できなかった家族って、実際にはたくさんたくさん、いたのだと思います。そしてその家族の苦しみは、今もなお続いている。
コン・リーの演技は圧巻です。ただひたすら夫を待ち続ける妻。表情の一つひとつが、台詞以上に画面を通して訴えかけてくるようでした。
チェン・ダオミンも素敵な俳優さんですよね。最近では大ヒットドラマ『我的前半生』に出ていたのも記憶に新しいです。
中国に詳しいジャーナリスト、中島恵さんの紹介記事が詳しく、参考にさせていただきました。
※ネタバレあり!
『妻への家路』とはなかなか上手い邦題ではないでしょうか。
日本でも機会があればぜひ観ていただきたい、静かな名作だと思います。