元・ふわふわ北京日和

北京住み→日本に本帰国。現在は中国に関係あったりなかったりの気ままなブログ。

高校生の悲惨な校内いじめを扱った中国映画『悲傷逆流成河』(悲しみは逆流して河になる)

高校生のいじめをテーマにした中国映画、『悲傷逆流成河』を観ました。

悲しくて残酷で、やりきれくて、救われなくて。

でも、中国は日本ほどいじめがないとばかり思っていたので、いじめや校内暴力を告発するこの映画を観て少しでも知ることができ、観てよかったです。

 

『悲傷逆流成河』(2018年中国)

監督:落落(ルオルオ)

出演:任敏(レン・ミン)、超英博(チャオ・インボー)ほか

baike.baidu.com

予告編がYouTubeにありました。

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日本未公開です。中国語字幕で鑑賞。

原作は郭敬明(グオ・ジンミン)という83年生まれの作家による小説で、小説と映画は内容をところどころ変えているそうです。小説は、『悲しみは逆流して河になる』という邦題で日本でも出版されたとのこと。

というかこの郭敬明という作家さん、百度で調べてみたら、かなり想像と違う外見の方でびっくり!まるでアイドルのような容貌のお方です。こちら↓で見られます。

baike.baidu.com

 

易遥(イー・ヤオ、任敏)は女子高生。家は貧しく、シングルマザーの母親(鄔君梅)は家でマッサージ店を営みながらその日暮らしの生活をしている。ハンサムで成績優秀な人気者の斉銘(チー・ミン、趙英博)とは幼なじみで仲が良い。

ある日、美少女の唐小米(タン・シャオミー、朱丹妮)が転校生としてやってきて、たちまち人気者になる。斉銘に思いを寄せる唐小米は、易遥を目の敵にし、いじめが始まった。日に日にエスカレートするいじめ。そして悲劇が…。

 

もう、主人公の易遥が辛くて辛くて…。かかるはずのない性病にかかってしまい、そのことを唐小米に握られてからいじめが一層悪質になっていくのですが、見ていて本当にやりきれなかったです。その性病にかかった原因というのも、またやるせなくて。

どんなひどい目にあっても立ち向かおうとする易遥を応援する存在となる、男友達の顧森西(グー・センシー、辛雲来)が唯一の希望の光となっていたのですが…。

そして、いじめの主犯格である唐小米だって、転校前の学校ではいじめられていた側でした。(映画のわりと最初でいじめられるシーンが出てくる)いじめがいじめを生む、そして加担した者も傍観者も、加害者になることを辛辣に告発しているように受け止められました。

 

中国の高校生は部活や習い事ができないほど、朝から晩まで大学受験のために勉強漬け。日本のようないじめはないものだというイメージがありました。

が、映画のエンドロールでは、実際にいじめにあった人たちの声が紹介されていました。大人になっても決して忘れることのできない深刻ないじめが、中国にも存在していて、社会に問題告発を投げかけるという強い制作側の意思が表れているように思います。

エンドロールでは、各省の”いじめ相談ホットライン”みたいな行政の連絡先が表示されているのも新鮮でした。

 

主人公の易遥を演じた任敏をはじめ、若い俳優陣は皆良かったです。任敏さんは演技がとても上手く、ひきつけられました。そしてメインキャストの5人は皆美男美女、今後引っ張りだこになりそうです。

 

暗くて救われなくて、観終わった後も後味が悪くどんよりした気分になってしまう映画ですが、青春万歳~なお気楽ストーリーを観るよりだいぶ観る価値があると、個人的には思いました。

 

映画音楽についてもついでにメモ。

挿入歌の『再見青春』は、中国の有名なロック歌手汪峰(ワン・フォン)の曲のカバー。女性歌手が歌っています。

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個人的には上の『再見青春』よりも、主題歌の『如河』の方が気に入りました。歌っているのは女性歌手の張韶涵(アンジェラ・チャン)。サビが美しいです。

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