参政権を求めて闘った女性たちを描く映画『未来を花束にして』
映画鑑賞記録。今回は、1912年のロンドンで女性参政権を求めて闘った女性たちの物語『未来を花束にして』。
今私たちが当たり前のように有している選挙権の重みをかみしめずにはいられない、見るべき映画でした。
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『未来を花束にして』(2015年英)
原題:『Suffragette』
監督:サラ・ガヴロン
出演:キャリー・マリガン、ヘレナ・ボナム=カーター、メリル・ストリープほか
舞台は1912年のロンドン。まだ女性に参政権がなかった時代。ごく平凡な24歳の女性モード(キャリー・マリガン)は、洗濯工場で働いている。7歳の時から働き、12歳で社員になり、低賃金で長時間労働を強いられているが、同じ工場で働く夫と一人息子に恵まれ、つつましくも穏やかに暮らしていた。
ある日、モードは女性参政権を求めて活動するWSPU(女性社会政治同盟)の存在を知る。最初は興味がなかったモードだが、同僚に頼まれ公聴会で自分の境遇について証言することになる。さらに、WSPUのカリスマ的リーダーであるエメリン・パンクハースト(メリル・ストリープ)の演説を聞き、自分も立ち上がりたいと思うようになる。活動に熱心になるモードたちに、さまざまな試練が降りかかる。
“紳士の国”イギリスで、こんなに女性が闘っていたとは知らなくて、女性たちの勇気と熱意に頭が下がる思いで観ました。
権利がまだ当然の権利でなかった時代。私たちが今享受しているものが、どれだけの過去の痛みの上に成り立っているのかを改めて考えさせられました。
この映画の原題は「Suffragette」(サフラジェット)。この言葉を私は今まで知りませんでした。WSPUのような、参政権を主張する女性たちのことを指す言葉です。(それにしても、この邦題、センスが…何なのもう。)
メリル・ストリープが演じるリーダーのエメリン・パンクハーストは実在の女性だったのですね。
モードは、最初デモに参加したというだけで警察に暴力を振るわれ逮捕されます。武器も持たない女性に対して、容赦なく殴る蹴るの暴力を男性警官たち。
そして、2度目の収監時にハンスト(ハンガー・ストライキ)を行い、拷問のように強制摂食をさせられる描写には目を覆いたくなるほど苦しくなりました。その描写は、上記のWikipediaの記述とほぼ同じです。
モードの仲間たち、イーディス(ヘレナ・ボナム=カーター)らは、放火など過激なことも厭わない思想を持っていました。いくら「犠牲者は出さないように」という方針であっても、過激なやり方は私は賛成、共感はできない。それでも、そうしないと女性の意見には耳を傾けてすらもらえないという現実を味わっている、彼女たちの必死の訴えだったのでしょうか。
平凡な妻であり母であったモードは、運動に熱心になるにつれ、家庭の幸せを失っていきます。
女性としての幸せとは何だろうか。何もしなければ、平凡な妻として母として、貧しいながらも幸せな一生を送っていたのかもしれない。けれど、モードは運動をやめることができなくなっていった。命がけで、未来への希望へと突き進んだ女性たちの姿。
参政権もそうだけれど、当時は女性が男性と同じように教育を受けること、働くこと、親権を得ること、何かに意見をすること、全てが当たり前ではありませんでした。
100年以上経った現在、どうだろう?
参政権はある。しかし、世界のどこかに、社会のどこかにはびこっている男女不平等は消えたとは言えない。
参政権に限らず、現代も考えさせられる問題が詰まっている映画だと思いました。
モードを演じるキャリー・マリガンの、気迫を感じる演技には圧倒されました。
そして、出演シーンはごくわずかだったメリル・ストリープ。しかし、そのわずかなシーンでも魅せる存在感はやはり圧倒的で、さすがの貫禄です。
多くの人に薦めたい映画ではありますが、個人的には、これから選挙権を持つ高校生くらいの人たちに特に観てもらいたいと強く思う映画でした。