実話に基づく、インドとオーストラリアをつないだ感動の奇跡。『LION / 25年目のただいま』
映画鑑賞記録。今回は、実話に基づく感動のストーリー『LION / 25年目のただいま』です。
ああ、私はまたもや最後の最後で涙腺を持っていかれました。それにしても驚くのは、これが本当にあった、実話に基づいた話だということ。
『LION / 25年目のただいま』(2017年豪)
原題:Lion
監督:ガース・デイビス
出演:デヴ・パテル、ニコール・キッドマン、ルーニー・マーラほか
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1986年のインド。貧しい家庭で暮らす5歳のサルー(サニー・パワール)は、大好きな兄について街に仕事を探しに出かけるが、兄とはぐれ迷子になってしまう。兄は見つからず家にも帰れなくなったサルーは、そのまま拾われ、オーストラリアに養子に出される。
それから25年後。養子を望んでいた優しい養父母の元で、たくましい青年に成長したサルー(デヴ・パテル)。しかし、時々フラッシュバックする、インドで過ごした幼少の頃の記憶。自分はどこから来たのか、そして本当の家族への想いが断ち切れず、故郷と家族を探し始める。
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サルーが暮らしていたインドは、子どもの誘拐や人身売買が横行していました。サルーの目線で描かれる物語の前半部分は、結構スリリング。ストリートチルドレンが街にあふれ、一歩間違えればどこに売り飛ばされていたかも分からない。
混沌としたインドの街並み。電車で長距離移動すると言葉も通じない。その中で生き延びることができたサルーは、きっと勘と運が抜群に良かったのだろうと思えます。他の子どもたちはどこに行ってしまったのか、考えると怖くなります。
オーストラリアのタスマニアで、裕福な白人夫婦の養子として可愛がられるサルー。夫婦はサルーを引き取った後、インドからもう一人男の子を養子として迎えます。
サルーは素直ですくすく育ちますが、サルーの弟となったマントッシュは気難しく問題児となってしまう。2人とも両親とは肌の色が違うし、養子であることは早い段階で知っている様子でした。
この物語が成り立ったのは、養父母の深い愛情と人間性なしには成立しなかったと思います。養母であるスー(ニコール・キッドマン)のセリフにもありましたが、彼らは身体的に子どもが持てないから養子を望んだわけではなかったのです。産もうと思えば産めた。それでもあえて、外国からの養子を望んだ理由。こういう考えは、日本ではまだまだ理解されにくいのではないかと感じましたが、欧米では珍しいことではないんですよね。
親子の形、家族の形はそれぞれ。固定観念に縛られて柔軟な考えを受け入れることを拒みがちな日本社会のことを考えてしまいました。
きっとスーは、成長した息子が実の親に会いたいと言う日を、心のどこかで覚悟しながら生きてきたのだと思います。複雑で苦しくもあっただろうに、子どもにとっての幸せを最優先に考え大きな愛情で包んだスーは、血は繋がっていなくても立派な母親でした。
グーグルアースで故郷を探すサルー。すごい時代になったものです。
子どもの頃のサルーを演じるサニー・パワール君がとってもとっても可愛らしくてキュンキュンしちゃいました。そして、25年後のサルー(デヴ・パテル)がイケメンすぎてドキドキしちゃいました(笑)。
ニコール・キッドマンの養母、美しくて優しく強い素敵な女性。こういう役でニコール・キッドマンを見ることができるのも嬉しいです。
成人したサルーの彼女であるルーシー(ルーニー・マーラ)の描き方や二人の恋愛模様はちょっと弱かったかな。全く印象に残らずもったいない。
ああ、良いものをみたなぁ。と思える映画でした。観て良かった。
【ネタバレ感想】
というか、この邦題ですでにネタバレしているんですけど…。だからセンスのない邦題が嫌いなんです(笑)。
それにしても、なぜこの映画のタイトルは「LION」となっているのだろう。
その謎が、最後に解けます。そして、その答えを知った時に、涙があふれてしまいました。これはズルいよ。良い意味で。やられました。
と同時に、テロップで流れた、サルーとはぐれた兄の悲劇にはなんともやりきれなく、悲しいです。
最後の最後、実際にサルーとサルーの養母、そしてサルーの実母がインドで再会する映像が流れます。この映画が実話であったことを教えてくれます。
この映像でも、涙が止まりませんでした。