ネット社会の“絆”とは。映画『ディス/コネクト』が描くリアリティ
映画鑑賞記録。2013年の映画『ディス/コネクト』です。ネット社会で繋がった人、そして現実世界で薄れた繋がり。特に有名な俳優さんが出ているわけではないけれど、非常にリアリティがありハラハラさせられました。
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『ディス/コネクト』(2013年米)
原題:Disconnect
監督:ヘンリー=アレックス・ルビン
出演:ジェイソン・ベイトマン、ポーラ・パットンほか
この日本語を被せたビジュアルがごちゃごちゃしていて好きではないです(笑)。
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友達のいないベン(ジョナ・ボボ)は、多忙で弁護士の父親リッチ(ジェイソン・ベイトマン)や家族ともあまり口をきかず、SNSを心の拠り所としていた。SNSでジェシカという他校の女子生徒と繋がり、彼女に気に入られようと裸の写真を送ってしまうが、ジェシカは実は男子同級生のなりすましであり、ベンを陥れようとする悪質ないじめだった。写真が出回りショックを受けたベンは、自殺未遂を起こして意識不明に陥ってしまう。加害者少年の父親マイク(フランク・グリロ)は元刑事で今は探偵、息子に高圧的な態度をとることが多く、コミュニケーションは上手くいっていない。
所変わって、シンディ(ポーラ・パットン)は幼い息子を亡くし、夫との関係もぎくしゃくしていた。夫との会話が減った寂しさをチャット相手との会話で埋めようとするが、ネット詐欺にあってしまい夫婦は破産寸前に追い込まれる。
また、別の場所ではテレビ局のレポーターであるニーナ(アンドレア・ライズボロー)が、未成年がアダルトサイト上で働かされウェブカメラで客と卑猥な行為をしていることを知る。そんな少年の一人カイル(マックス・シエリオット)と接触し、取材を試みる。
3つの物語が進行する群像劇。
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SNSでの嫌がらせ、オンライン詐欺、未成年とアダルトサイト。どれも、舞台を日本に置き換えても十分成り立つと思います。このような事件をニュースで見聞きしても大して驚かなくなってしまったくらい、ネットが私たちの生活を侵食している現在。
ネットの恩恵はとてつもなく大きいし、ネットなしの生活なんてもう考えられません。
それと同時に、ネットを利用した悪意というのは、残念ながら確かに存在する。
ネットでの新しい出会い、繋がりがもたらすもの。
そして、ネットに傾倒すればするほど、実は現実世界のリアルな繋がりが薄れていないか?
そう考えさせられる、良作だと思います。
本作では3つのエピソードが描かれていますが、特にSNSを使った嫌がらせは人を自殺に追い込むほど深刻な問題となっています。
10代のお子さんを持つ保護者の方に、ぜひこの映画を観てほしい!映画の舞台はアメリカですが、日本でも決して他人事ではないはずです。
そして、被害者と加害者両方の父親の心理描写も非常にリアルでした。どちらの立場になっても、親が子を思う気持ちは変わらないし、わが子を愛している。それが故のクライマックスは緊迫感があり、目が離せませんでした。
変に綺麗に仕上げようとしないあのラストの終わり方も、私は良かったと思います。