元・ふわふわ北京日和

北京住み→日本に本帰国。現在は中国に関係あったりなかったりの気ままなブログ。

中国ドラマ『独孤伽羅~皇后の願い~』南北朝の乱世から隋へ。美しき三姉妹の物語に夢中になりました

中国ドラマ『独孤伽羅~皇后の願い~』をAmazonプライムで観終えました。 

いやぁ、面白かった!出演者をほとんど知らず、期待もあまりしていなかったのですが、見始めたら面白すぎてびっくりしました。中国の歴史ドラマで今のところ一番好きかもしれません(というほど、歴史ドラマはまだそれほど観ていませんが😅)。

北周から隋の時代が舞台となっています。

 

ドラマなのでフィクションの部分は多々ありますが、中国史にそれほど詳しくないのでWikipediaなどでさっと調べてみたところ、史実と大筋はだいたい合っていて、すごいなぁと感動。登場人物のほとんどが実在した人物ですよね。

創作部分(特に恋愛面など)をうまく織り交ぜつつ、時代が動く要所要所でしっかり史実を押さえており、一つのドラマ、エンターテインメント作品として大いに楽しませてくれるものになっています。中国歴史ドラマのこういうところ、うまいなぁと思います。

 

『独孤伽羅~皇后の願い』(2018年中国)

原題《独孤天下》

出演:胡氷卿(フー・ビンチン)、張丹峰(ヂャン・ダンフォン)、徐正渓(シュー・ジェンシー)、李依暁(リー・イーシャオ)、安以軒(アン・アン)ほか

baike.baidu.com

Amazonプライムでの視聴はこちら↓。全55話。

amzn.to

 

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南北朝時代の乱世。北周の忠臣である将軍・独孤信(どっこしん/ドゥーグー・シン、黄文豪)は、「独孤天下」の予言を受ける。彼には三人の娘がいた。聡明な長女の独孤般若(どっこはんじゃく/ドゥーグー・バンルオ、安以軒)は、「独孤天下」の予言を実現させるべく、皇后になるための選択をする。次女の独孤曼陀(どっこばんた/ドゥーグー・マントゥオ、李依暁)は、母親の身分が低いことがコンプレックスで、姉と妹に強い嫉妬心を抱いている。三女の独孤伽羅(どっこから/ドゥーグー・ジァルオ、胡氷卿)は最も父に愛され、天真爛漫でまっすぐに育ったおてんば娘だ。美しく成長した三姉妹は、それぞれに結婚話が持ち上がり…。

北周を支配する皇族や権力者と独孤三姉妹が、乱世の時代を動かしていく。

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予告編↓ 

youtu.be

 

(以下ネタバレを含みます!)

 

忠臣の独孤信率いる独孤家は、権力者である皇族の宇文一族とも密接な関係にありました。

史実を元に制作されたドラマなので、ネタバレになるかの境界線も微妙なところですが、ざっくり三姉妹について言うと、

長女・般若は、「独孤天下」の予言を実現させるために、本当に愛した人への思いを振り切って、宇文毓(うぶんいく/ユーウェン・ユー、鄒廷威)へ嫁ぎます。宇文毓は、北周の明帝となります。

次女・曼陀は、独孤信の正室の子ではなく、側女の子で、母親の身分が低いことで自分も見下されているとコンプレックスを持っていました。それゆえ、過剰なほどに金と権力に執着し、自尊心が高く、婚約者である楊堅(ようけん/ヤン・ジエン、張丹峰)との縁談を蹴って唐国公の李昞(りへい/リー・ビン、盧星宇)に嫁ぎました。

三女・伽羅は、幼なじみの宇文邕(うぶんよう/ユーウェン・ヨン、応昊茗)と心を通い合わせていましたが、曼陀との縁談が破談になった楊堅と政略結婚をさせられます。この楊堅が後に、北周の次の隋を興し、隋の初代皇帝・文帝となり、中国を統一することになるのですね。

 

独孤伽羅は、楊堅を隋の初代皇帝へと押し上げ、楊堅と共に「二聖」と呼ばれるほど政治においても深く関わり力を発揮しました。

そして、妃を何人も迎えることが当たり前であった古代中国において、独孤伽羅は一夫一妻制を提唱したことでも知られています。夫の楊堅に、自分以外の女性に子を生ませないことを約束させたそうです。

と、史実では、隋の初代皇帝・楊堅の皇后として知られている伽羅ですが、このドラマでは楊堅が隋の皇帝になる以前の、北周の時代をメインに描かれています。乱世で皇位継承争いが常に繰り広げられる中で、時代を動かすことになっていく独孤伽羅と二人の姉。そのドラマチックな展開が、すごく面白かったです。

 

邦題は『独孤伽羅~皇后の願い~』となっていますが、原題は、重要なキーワードでもある『独孤天下』です。

邦題の通り、三女である伽羅がどちらかというと中心的ではありますが、ドラマでは二人の姉・般若と曼陀も、主人公の伽羅を食うくらいの存在感でした。伽羅だけというよりも、やはり独孤三姉妹を描いた物語だと思いますので、原題の『独孤天下』の方がしっくりきます。最終話の終わり方がまさにそうですよね。独孤の天下。あの終わり方はちょっと鳥肌立ちましたもん。うぉーっ、となりました(笑)。

そうそう、史実では、独孤信には三人の娘がいたことは明らかなようですが、名前が伝わっているのは伽羅だけなのでしょうか。Wikipediaでも、般若と曼陀の名前はなく「独孤氏」とのみ書かれています。

こちら↓も参考になりました。

第8回 強く美しき独孤三姉妹。史実ではどうだった?|Cinem@rt記事一覧 | アジアをもっと好きになるカルチャーメディア

 

また、ドラマなので、史実にはない創作部分も多いようです。

般若と宇文護(うぶんご/ユーウェン・フー、徐正渓)の関係、楊麗華(ようれいか/ヤン・リーホア)の出自、曼陀が李昞に嫁ぐことになった経緯などは、それにあたるのかなぁなんて思いました。

どこまでが史実で、どの部分がフィクションなのかな、なんて、観終わってから調べるのも楽しいですね~(*^^*)

北周 - Wikipedia

独孤伽羅 - Wikipedia

独孤信 - Wikipedia

楊堅 - Wikipedia

 

ドラマでは、宇文毓(明帝)は、皇后の般若の尻に敷かれ、自分は皇帝にはなりたくなかった!なんて口に出してしまう頼りない皇帝でしたが、Wikipediaによると、

宇文護は新たな天王として先君の兄の宇文毓(明帝)を擁立した。しかし明帝は明敏で見識・度量共に優れていたため、宇文護は後難を恐れて560年に毒殺した。

んですって!そして宇文毓の後に皇位を継いだ弟の宇文邕(武帝)については、

武帝も優れた人物だったが、宇文護に警戒されることを恐れて自ら意見を言うことはなく、必ず他人と相談して物事を決裁する無能な皇帝を演じた。そしてすっかり油断した宇文護は572年、武帝の罠にはまって誅殺された。

これは、ドラマでもその通りに描かれています。 うーん、面白いなぁ。

そして、皇位に就いた者は、一度とてつもなく大きな権力を手にしてしまうと、後に戻ることはできなくて。皇帝となった彼らがそれぞれ、権力を手にしてどのように変わるかを見るのも興味深かったです。

それは、隋の初代皇帝となった楊堅も同じ。娘の麗華が楊堅に言った言葉「(母上(伽羅)の前で自分のことを)いつから「私」ではなく「朕」と?」は、重要なフレーズだったのではないでしょうか。

 

時代背景など、こちらのページも分かりやすいです↓

www.ch-ginga.jp

 

伽羅を演じた胡氷卿さん、初めて出演作を観ました。可愛らしい少女時代から、楊堅を支える皇后まで、しっかり演じていて良かったです。目を見張る美女というタイプではないけれど、まっすぐで自然な魅力があって、可愛い人だなぁと思いながら観ていました。

しかし伽羅以上に、2人の姉の存在感が半端なかったです。長女の般若を演じるアン・アンさんは、強くて美しくてとにかくカッコよかった。彼女には幸せになってほしかったな。

そして、憎たらしすぎる次女の曼陀。演じる李依暁さんは、どこかで見たことがあると思ったら、『扶揺(フーヤオ)~伝説の皇后~』の裴媛役だ!嫌われる役柄が多いのでしょうか…確かにハマってますけれども。曼陀は、とにかく自分が上に立つためには手段を選ばない、どこまでも自己中心的な人物。しかし、悪いことをたくさんしているにしては、やり方も考え方も幼稚というか稚拙というか…。どこか、”悪女”にはなりきれていないんですよね。結局は自業自得で、どんなに自分に跳ね返ってきても改心することはなく、それでも最後に笑ったのは彼女か、っていうくらい、最後まで憎たらしさは健在でした(笑)。

 

彼女たちを取り巻く男性陣、それぞれ良かったのですが、伽羅&楊堅以上に注目してしまうのが、やはり般若と宇文護ですよね。

宇文護を演じる徐正渓さんが、美形すぎてびっくりしましたよ!百度で写真検索してしまったくらいですよ(笑)。このお顔立ち、綺麗すぎます。般若と宇文護のシーンは、本当に目の保養になりました(笑)。宇文護は悪役なのに、これほど切ないなんて。観る者に強いインパクトを残す2人でした。

baike.baidu.com

 

ドラマは、楊堅の時代までで終わっています。ドラマを観終えてから史実を調べると、その後隋が2代で終わり、曼陀の子の李淵が唐の初代皇帝になり…なんて、また一層興味を持って歴史を眺めることができて。面白いなぁ~と思いながら余韻に浸っています。

本当に楽しく鑑賞できました。ますます、中国歴史ドラマにハマりそうです。