元・ふわふわ北京日和

北京住み→日本に本帰国。現在は中国に関係あったりなかったりの気ままなブログ。

裕福な主婦がコメディエンヌに!キュートなドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』(現在シーズン3まで)

Amazonプライムで配信されているアメリカのドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』。

今月配信開始されたばかりの最新シーズン、シーズン3までを観終えました。面白い!

 

1950~60年代のニューヨークを舞台に、裕福な主婦が夫の不倫を機にコメディエンヌとしての道を歩み始めるドラマ。

テンポ良く飛び交う会話、レトロNYの街の風景や主人公達のビビッドでおしゃれなファッション、そして前向きな主人公。どこを取っても面白くてキュートで、昔のNYにタイムスリップしたような感覚で釘付けになってしまいました。

 

※画像をクリックするとAmazonページに飛びます

マーベラス・ミセス・メイゼル』シーズン1~3(2017~2019米)

出演:レイチェル・ブロズナハン、マイケル・ゼゲン、アレックス・ボースタインほか

 

YouTubeにオフィシャルトレーラーがアップされています。 

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↑こちらはシーズン1。

 

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↑こちらはシーズン3。

 

シーズン3の最終話を観て、これでは終われないよなぁと思っていたら、シーズン4の更新も決定したそうで嬉しい!配信は来年かなぁ。

そしてこのドラマ、脚本・プロデューサーが『ギルモア・ガールズ』のエイミー・シャーマン=パラディーノ。観たのはもう何年も前だけど、『ギルモア・ガールズ』も大好きなドラマでハマっていました。『ギルモア・ガールズ』を手掛けた方が脚本なんて、それは面白いはずだわぁと妙に納得。確かに、マシンガントークのミッジと、『ギルモア・ガールズ』のローレライは、どこか似ているところがありますね。

 

1958年のニューヨーク。裕福な家庭で育ったユダヤ人の若い主婦、ミリアム・メイゼル(通称ミッジ)は、夫と2人の幼い子どもに恵まれ、何不自由ない日々を送っていた。夫のジョールはビジネスマンだが実はコメディアンになる夢があり、時々ナイトクラブのステージでスタンドアップ・コメディ(漫談)を披露している。ミッジはそんなジョールを支え応援していた。

ところが、ジョールが秘書と不倫をしていたことが発覚。傷付いたミッジは自暴自棄になり、部屋着のまま家を飛び出して、いつものナイトクラブへ。酔った勢いでステージに立ち、ヤケになって夫の不倫をネタに喋り倒すが、これが客に受けて大爆笑を巻き起こす。それを見ていたクラブの従業員スージーにスカウトされ、コメディエンヌとしての道を歩み始める。

 

スタンドアップ・コメディとはアメリカでメジャーなお笑いのスタイルで、いわゆる一人漫才。Amazonの日本語字幕では「漫談」、ミッジ達コメディアンのことは「漫談家」と訳されています。

正直、日本人の私には、漫談シーンを見てもお腹の底から笑えるかと言ったら…そうではないです(笑)。もちろん、英語でそのまま理解する力が私にまだ足りないという悔しさもあるのですが、そもそも笑いのツボが違うのだろうとも思うし、今のネタどこが面白いの?なんで笑えるのか全然分からない…と思う場面、たくさんあります。

どっちかと言うと私、漫談シーン以外で笑っています(笑)。

でも、それでも全く問題なく楽しめてしまうのがこのドラマ。だから、アメリカのお笑いの面白さが分からない!という人でも、きっと大丈夫です。

 

主人公ミッジ(レイチェル・ブロズナハン)がとにかくチャーミング。元々明るく話し好きで、自分の結婚式のスピーチでも喋りまくる(ウケているかは別にして)。夫ジョール、両親、親友イモジェン、マネージャーのスージーら、周りの人たちとの会話も早口でまくしたてます。皆人の話を全く聞いていないようで会話が成り立っているのが不思議なくらい(笑)。だけど、そのあたりの会話のウイットも面白いです。

余談ですが私も、彼女の早口トークで、だいぶ英語耳を鍛えられた気がしています(笑)。

ミッジは裕福な家庭のお嬢様で、ミッジと母親ローズのファッションがとってもおしゃれで素敵。次々と繰り出されるロングコートやワンピース、帽子などを見ているだけでも目で楽しめちゃいます。50~60年代のNYのファッションってこんなに可愛いんですね。同じNYファッションでも、時代が違うので当然ですが『セックス・アンド・ザ・シティ』などとは全然異なった楽しみ方ができます。

何不自由ない暮らしを謳歌してきたミッジ。子育ては両親やお手伝いさんに任せ、親友のイモジェンとヨガ(?シェイプアップスタジオ?)に通い、スリーサイズや太もものサイズを小まめに測って産後もスリムな体型を維持。毎年夏は両親とキャッツキルというリゾート地で、遊びながら2カ月を過ごす。

そんなリッチな主婦だったミッジが、夫の不倫をきっかけにコメディエンヌとしてのキャリアをスタートさせ、何度も苦境に立たされながらも前に進んでいく姿は見ていて痛快です。

 

ミッジを支えるマネージャーのスージー(アレックス・ボースタイン)がこれまた超個性的なクセモノで良いキャラ。

ミッジとは正反対で、ガサツで粗野で口が悪く、その恰好からも、女性ではなく少年に間違われることしばしば。育った家庭環境も決して良いとは言えず、世間知らずなお嬢様のミッジを理解できないことも。

しかし、ミッジのトークの才能をいち早く見抜き、信じ、ミッジが有名になるよう奔走します。ミッジにとっては唯一無二の頼りになる柱のような存在。

シーズン3で、大物コメディエンヌのソフィ・レノンにスージーが放った言葉「彼女(ミッジ)にはあんたにない度胸がある」「あんたはただのスターだが、彼女は伝説になる」にはグッときました。このシーン大好き。

 

脇を固めるキャラクターも、皆個性が強すぎてユニーク。実際にこんな人たちに囲まれて暮らしたらきっと、ストレスで発狂しそうな気さえします(笑)。が、ドラマとして観るにはとっても面白くて憎めないんです。

特に、ミッジの両親。父親のエイブと母親のローズのコンビが良い味出しています。

 

当時のNYの時代背景が垣間見えるのも注目ポイント。

白黒テレビが家庭に普及し、エンターテインメントが浸透。ミッジがお気に入りの漫談家のレコードを買って部屋で楽しんだり。

電話やレコーディングスタジオのセットなど、さまざまなセットやインテリアを見ていても当時の雰囲気に合わせたレトロなものがたくさん。見ているだけでも面白いです。

シーズン2でミッジが大手デパートの化粧品売り場で働くことになるのですが、昔のデパートは庶民にとってパラダイスのような憧れの場所で、キラキラしていたのだろうなぁと。

資本主義の自由を謳歌する一方で、やはり女性芸人に対する風当たりがまだ強かっただろうし、そんな中で奮闘するミッジや、成功した大物コメディエンヌのソフィ・レノンの暮らしぶりなども興味深い。

ミッジを巡業の前座に抜擢した人気黒人歌手のシャイ・ボールドウィンが、各地でリッチな白人の前で歌って喝采を浴びるのだけれど、泊まるホテルは白人のミッジとは別…という場面では、映画『グリーンブック』を思い出しました。まだまだ黒人差別も強かった時代です。

 

そうそう、日本のネットのレビュー記事やコメントを見ていると、「ミッジに全く共感できない。子どもをほったらかして子育てをないがしろにしているから」というものが数件ありました。

確かに、そう見えるかもしれないことは賛成です。ミッジの育児や家事のシーンなんてほとんど出てきません。幼い子どもがいる母親なのに無責任すぎる、という意見も、よく理解できます。

しかし、このドラマが見せたいのは、「家事も育児もこなし自立したコメディエンヌ」のミッジ、ではなくて、あくまでも一人の未熟な女性の、コメディエンヌとしての成長ストーリーだと、私は思います。そこで、家事や育児をこなす、という視点は、あまりフォーカスされなかっただけではないかと。

ミッジは決して子どもをないがしろにしているわけではなく、育児はジョールや両親や義両親やお手伝いさんに協力してもらっているし(それが調子良く見えるのかもしれないけれど)、決してほったらかしにしているのではなく、自分のやりたいことをやっているからと言って子どもへの愛情を失ったわけではないし。

親やお手伝いさんなど使える手は使う、それが可能な環境の人間は、それで良いじゃないですか。と、私は思います。

話はそれるけれど私も、中国の働くお母さんたちも大半が、自分の親や義両親ら、お手伝いさんに家事や育児を手伝ってもらいながら仕事に励んでいる、というのを見てきたのもあるけれど。

日本だって、家事代行サービスや男性の育休取得が話題になることも増えたし、それらがもっと普及してほしいし、使いたい人はどんどん使って良いと思います。

このドラマを、「ミッジが母親として失格」と、目くじら立てて批判するのって、実は批判している人たち自身が「母親とはこうあるべきもの、家事や育児を最優先にこなして、自分のやりたいことや仕事は二の次~」という制限をかけているように見えてしまって悲しくなりました。これまで十分世間の目を気にして苦しんできた日本の女性が、この現代においてまで自らを固定観念に縛り付ける必要ないのに、って。

まあ、私の見方は楽観的かもしれませんが、海外のドラマなんだしそこまで声を荒げて本筋じゃないところを批判しなくても良いじゃない~♪と思った次第です^^

 

楽しめるポイントがたくさん詰まったチャーミングなドラマ。シーズン4の配信も今から楽しみです。

 

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