アカデミー作品賞受賞『グリーンブック』、良い映画でした
北京から日本行きの本帰国フライトは、飼い犬の輸送のために安心の日系航空会社を選びました。
普段は中国系航空会社のフライトにばかり乗っていたので、久々のANAにワクワク。
ただし、なんだかなぁー。犬の対応は丁寧で安心でしたが、それ以外はまあ普通に感じてしまいました。機内食も含めて、JALの方が頑張っている印象もあり。
そんな日本行きの片道フライトは、しんみりする暇もなく、映画鑑賞に夢中でした(笑)。
観たのは、2019年第91回アカデミー作品賞に輝いた『グリーンブック』。
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『グリーンブック』(2018年米)
原題:Green Book
監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリほか
実話が元になった作品です。
1962年、まだ黒人に対する人種差別が根強く残る南部アメリカが舞台。ナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、ガサツで教養はないが周りから頼られる憎めない男だ。
仕事を探していたトニーは、黒人の著名天才ピアニストであるドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の運転手兼ボディガードとして、南部アメリカの演奏ツアーに同行することになる。
ツアーで訪れる南部の都市で、白人のお金持ちのために演奏するドクター・シャーリー。彼の素晴らしい演奏は好評を博す一方で、ステージから降りれば他の黒人と同じように差別を受けてしまう。それを目の当たりにするトニーは、ドクターとの時間を過ごしながら友情を育み、黒人に対する考えが変わっていく。
トニーとドクターの珍道から芽生える友情に、ホロりと笑顔になれる映画です。
グリーンブックとは、ツアーに出発する前にトニーが手にした一冊のガイドブックで、黒人が利用できる施設をまとめたものです。
当時南部アメリカでは、黒人が利用できる宿泊施設やレストランは限られていました。グリーンブックを片手に、トニーとドクターはツアーに出かけるのでした。
当時は、黒人に対しては貧しい、無教養といった偏見も多かったようですが、ドクターは全く違いました。
ドクターというのは医者ではなく博士のこと。幼少のころからピアノの腕を見出されロシアに留学し、複数の言語を話せて、上品で落ち着きのある人物です。
当時の黒人に対する見方とドクターはまるでかけ離れていました。白人からの差別を受ける一方で、黒人なのに黒人の輪にも入れない。そんなドクターの孤独な心情が、多くのシーンに映し出されていました。
白人の富裕層のためにピアノを弾き、拍手喝采を受けるのに、お手洗いは白人とは別の場所を案内され、会場レストランでの食事さえ許されない。多民族国家ではない日本からすると想像を超える差別が当たり前だったことを、ひしひしと思い知らされます。
とはいえ、黒人賛美の映画とは違って、あくまでもトニーとドクターの友情ムービーなんだな。
トニーもドクターと出会う前は黒人に対して偏見を持っていたけれど、ドクターと出会って変わっていきます。トニー自身もイタリア系アメリカ人で、出自を理由に差別されることは、黒人ほどではないにしろ経験していたんですよね。
アカデミー作品賞に輝いただけある、心温まる良い映画でした。
日本という、多民族国家ではない島国に居続けると、本当に視野が狭くなるなぁ…と、改めて感じます。外の世界で何が起きてきて、今どうなっているのかを、見て、知ることは本当に大事だと。
私の場合は中国でしたが、海外から帰ってきて日本の地方で海外との関わりのない日々を過ごしていると、もどかしさと焦りが募ってきます。って、まだ何もしていないんですけれどね(汗)。
私は昔から、トニー役のヴィゴ・モーテンセンが大好きで。しばらく彼の映画を観ない間にすっかりおじさんになってお腹も出てきたなぁと思いましたが、きっと役作りのため、だと思っておきます(笑)。
『グリーンブック』日本公式サイト