ありきたりなバンド映画じゃない。『シング・ストリート 未来へのうた』
『はじまりのうた BEGIN AGAIN』のジョン・カーニー監督作『シング・ストリート 未来へのうた』をAmazonプライムで観ました。
この邦題、絶対『はじまりのうた BEGIN AGAIN』とかぶせていると見た。
『はじまりのうた BEGIN AGAIN』に負けず劣らず、音楽のパワーで前向きになれる良い映画でした。
『シング・ストリート 未来へのうた』(2016年アイルランド・英・米)
監督:ジョン・カーニー
出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボーイントンほか
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ちょっとダサさが否めない青春映画。なのだけれど、ダサさがどんどんカッコよくなって、観終わった後はなんだか爽快な気持ちにさせてくれました。
大人でも、いや、大人だからこそ響くものがある映画だと思います。
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舞台は1985年のアイルランド、ダブリン。街は不況で、皆ロンドンやアメリカにあこがれていた。14歳のコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は、父親の失業で公立の荒れた学校に転校させられる。
ある日、学校のそばで見かけた少女ラフィナに一目ぼれしたコナー。彼女に近づきたくて、思わず「僕のバンドのPVに出ない?」と話しかけてしまう。
そこから、バンドに打ち込む日々が始まった。メンバー集め、作詞、作曲、PV撮影…。ラフィナに振り向いてほしくて始めたバンド活動だったが、それはやがてコナー自身を変えていく。
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1985年って、年がバレてしまいますが私の生まれ年なのです。そして、私はアイルランドに昔からとても憧れを抱いていました。なので、1985年のアイルランドが舞台というだけでまず刺さります(笑)。
そんな1985年のアイルランドって、こんな感じだったんだなぁ。多くの若者がこんな街を出てロンドンに行きたいと思っていて。コナーは音楽好きの兄と、テレビで当時流行の音楽のPVを見ているのが好きでした。閉塞的で退屈な街にいる倦怠感と、海の向こうにあるカルチャーへの憧れ。
コナーは14歳、お子ちゃまで地味でいじめられっ子っぽくて。しかし、バンドを始めてからはそのお子ちゃまさがどんどんと成長しカッコよくなっていくのです。歌っている時は特に。
バンドメンバーもそれぞれ良い味出していて、演奏もどんどん上手くなるんですよね。
コナーが一目ぼれする少女ラフィナ役のルーシー・ボーイントンは、『ボヘミアン・ラプソディ』で、フレディの元恋人で生涯の親友であったメアリー・オースティンを演じていた女優さんですね!
ラフィナが最初に出てきた時は、濃いメイクで背伸びした不良少女でしたが、物語が進むにつれて弱いところも出てきて、親近感がわきました。
そしてもちろん、『はじまりのうた BEGIN AGAIN』と同様、この映画も音楽が素晴らしいです。
ライブのシーン、とても良かった。ライブといえば、あの先生に仕返し(笑)食らわせる演出は面白かったな。
こちらはサウンドトラック。
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ちょっとくすぐったくなるけれど、時代や国は違っても「わかる、わかる!」と頷いてしまいそうな、今思えばくだらないかもしれないけれど何かに一生懸命だった10代のあの頃の気持ち。
それを決してけなすことなく、ストレートに描いている良い作品だと思いました。