過去を引きずった孤独な男女のストーリー『ブエノスアイレス恋愛事情』
映画鑑賞記録。 アルゼンチンのブエノスアイレスを舞台にした2011年の映画『ブエノスアイレス恋愛事情』です。
スペイン語をかじっているのでスペイン語にもっと触れたいのと、映画やドラマを通して世界の都市をのぞき見るのが好きなので、こんな映画は大好物。
主役の二人がなかなか出会わないという変わったラブストーリーで、なかなかライトに観られました。カメラ越しに見るブエノスアイレスの街が素敵でした。
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『ブエノスアイレス恋愛事情』(2011年アルゼンチン・スペイン・ドイツ)
原題:Medianeras
監督:グスタボ・タレット
出演:ピラール・ロペス・デ・アヤラ、ハビエル・ドロラスほか
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舞台はブエノスアイレス。近所に住んでいるがお互いのことを知らない30代の男女、マルティン(ハビエル・ドロラス)とマリアナ(ピラール・ロペス・デ・アヤラ)。マルティンは引きこもりのウェブデザイナーで、人込みが苦手。人混みが苦手で、恋人が去ってから、恋人の残した飼い犬のススと暮らしている。
マリアナは建築家だが仕事がなく、閉所恐怖症。ショーウィンドウのディスプレイのバイトで食いつないでいる。4年間付き合って別れた元彼が忘れられずにいる。
傷付くことを恐れて深い人付き合いを避け、どこかもどかしい日々を過ごす2人。そんな2人を偶然が引き寄せる…。
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『ブエノスアイレス恋愛事情』なんてダサい邦題で中身も安っぽいラブストーリーなんだろうなぁと、中身は期待せずにブエノスアイレスの風景とスペイン語を楽しみに観てみたら、良い意味で裏切られました。盛り上がりに欠けることは否めないものの、なかなか新鮮で良かった。
ちなみに公式サイトを見てみたら、この邦題、つけるのにも苦労したようです。どうしてもブエノスアイレスを入れたかったのでしょうね…。原題はMedianeras、「境界壁」「共有壁」というような意味だそうです。
マリアナが建築家という設定もあり、建築デザイン×都市(または街)×人、というのが一つのテーマとしてあるような気がしました。
ブエノスアイレスの街も建築も、雰囲気があっておしゃれ。公式サイト↓でも解説されています。
思うようにいかない、もやもやとした日常を過ごすマルティンとマリアナ。2人とも過去の恋愛を引きずり、人と深く関わるのを恐れているかのように見えます。なんとなく一日をやり過ごして、そんな中でちょっと良い出会いがあれば楽しんだりもするけれど長続きはしない。心に空虚感を抱えて暮らす様子が伝わってきます。
だからこそ、ラストが映えるのかな、とも思いました。私には結構唐突な感じはしたけれど。
マルティンが飼っている犬のススが可愛かった。元カノが残した犬で、マルティンが言うには、元カノが去ってから寂しいのか吠えもしない、と。犬の世話係の女性に預け、他の犬たちと一緒に散歩をさせようとしても、ススはおびえてなじめずにいる。犬との別れは犬に深い悲しみを残すんですよね。犬はとても健気なんだから。
派手な演出はなく、ブエノスアイレスの街を背景に淡々と進む2人の日常。観る人によっては退屈と感じるかもなぁ。2人のシーンが少ないこともあり、恋愛映画としてはやや物足りない、かもしれません。恋愛映画と思わずに観れば、なかなか新鮮で楽しめる気がします(笑)。
95分と尺が短いのも良かったです。もっと長ければきっとダレていただろうから。
映画やドラマを通して世界の知らない国に触れられるのって、やっぱりすごく面白い。同じくブエノスアイレスを舞台にした映画『ブエノスアイレスの夜』(ガエル・ガルシア・ベルナルの大ファンです)をずっと前に観てから、ブエノスアイレスにはすごく興味があります。いつか行ってみたいな。