元・ふわふわ北京日和

北京住み→日本に本帰国。現在は中国に関係あったりなかったりの気ままなブログ。

また一つ、良い中国映画に出会いました。周冬雨の代表作『七月与安生』

『喜歓你』でもヒロインを演じていた、女優の周冬雨(チョウ・ドンユィ)。

昨年公開された映画『七月与安生』を観ました。

 

最近観た映画の中で、一番好きかもしれません。

前知識なく観てみたけれど、なんというか心に迫るものがあって、後半の衝撃に涙。

日本未公開のようですが、ぜひDVDとかで出てほしい!映画好きな人に観てもらいたい、おすすめ作です。

 

『七月与安生』(2016年中国)

監督:曾国祥(デレク・ツァン)

出演:周冬雨、馬思純(マー・スーチュン)、李程彬(リー・チェンビン)ほか

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YouTubeに予告編がありました。

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七月(馬思純)と安生(周冬雨)、2人の女性が主人公。

13歳、同じ学校に通う同級生の2人。七月は温かい家庭で育ったおとなしいタイプ、安生はやんちゃで先生に怒られるタイプ。父親を早くに亡くし、母親ともうまくいっていないという家庭環境です。性格は正反対だけれど、意気投合した2人は親友になります。

 

七月は高校に進学、安生は職業学校へ。

七月は高校で蘇家明(李程彬)という彼氏ができます。

七月に家明を紹介された安生。しかし安生と家明は、惹かれ合うものを感じてしまいます。

 

安生はその思いを振り切るように、バイト先のライブハウスで知り合ったギタリストの彼氏と一緒に北京へ。しかし彼氏の浮気が原因で別れてからは、職も付き合う相手も転々とするような、貧乏漂流生活を送る日々。グレているわけではないけれどスレていて、たまに非行っぽいこともしながら生きる術を身に着けていました。

一方の七月は、大学に進学し、銀行に就職し、一見すると順風満帆な安定した人生を送っていました。家明との付き合いは続いていて、結婚話も持ち上がります。

 

別々の道を歩む安生と七月ですが、文通でお互いの状況を頻繁に報告しています。

安生は、七月に宛てた手紙の最後に、必ず「问候家明(家明によろしく)」と綴る。

 

大人になって再会する2人。

ケンカし、恨み合いもするけれど、お互いかけがえのない親友同士。

嫌いにはなりきれないんです。

さて、2人の関係と三角関係の行方はどうなるのか。

 

ネタバレを避けたいので、ストーリー紹介はここまで。

核心的な所には触れません(笑)。

 

この映画、構成が工夫されていてやや複雑。

私は評論家ではないので、偉そうなことは言えないのですが、映像も良いしよく作られているなぁと思います。

後半のまさかの展開に、驚いて、衝撃を受けました。

怒涛のどんでん返し、そう来たか!って。いつの間にかストーリーに引き込まれすぎてしまっていて、ラストに涙。

すごく強い印象を残す映画でした。

 

また褒めますが、周冬雨は上手い。そして、存在感がやっぱり違う。

周りの出演者を食ってしまうような魅力があります。

『七月与安生』は、間違いなく彼女の代表作になっただろうな。

デビュー映画『サンザシの樹の下で』から着実にキャリアを重ね、女性としても成長し、出演映画が次から次に公開されるトップ女優となりました。

それにしても、当時学生だった素人の周冬雨を見出したチャン・イーモウ監督、先見の明がありすぎです。

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七月を演じる馬思純も良かったです。

どうしても個性的な安生の役が印象に残りがちだけれど、対極的な七月をうまく演じていると思いました。

 

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周冬雨と馬思純の2人はこの映画で、台湾版アカデミー賞と言われる金馬奨で、最優秀主演女優賞をW受賞したそうです。

まだまだ若い2人、これからの活躍にも注目したいです♪

 

原作は慶山(安妮宝貝)という、人気女流作家の小説です。

岩井俊二監督に影響を受けているそうで、言われてみれば確かに、

この映画、岩井俊二監督作品に通じる雰囲気があったように思うのでした。