ネット社会の“絆”とは。映画『ディス/コネクト』が描くリアリティ
映画鑑賞記録。2013年の映画『ディス/コネクト』です。ネット社会で繋がった人、そして現実世界で薄れた繋がり。特に有名な俳優さんが出ているわけではないけれど、非常にリアリティがありハラハラさせられました。
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『ディス/コネクト』(2013年米)
原題:Disconnect
監督:ヘンリー=アレックス・ルビン
出演:ジェイソン・ベイトマン、ポーラ・パットンほか
この日本語を被せたビジュアルがごちゃごちゃしていて好きではないです(笑)。
Amazon.co.jp: ディス/コネクト(字幕版)を観る | Prime Video
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友達のいないベン(ジョナ・ボボ)は、多忙で弁護士の父親リッチ(ジェイソン・ベイトマン)や家族ともあまり口をきかず、SNSを心の拠り所としていた。SNSでジェシカという他校の女子生徒と繋がり、彼女に気に入られようと裸の写真を送ってしまうが、ジェシカは実は男子同級生のなりすましであり、ベンを陥れようとする悪質ないじめだった。写真が出回りショックを受けたベンは、自殺未遂を起こして意識不明に陥ってしまう。加害者少年の父親マイク(フランク・グリロ)は元刑事で今は探偵、息子に高圧的な態度をとることが多く、コミュニケーションは上手くいっていない。
所変わって、シンディ(ポーラ・パットン)は幼い息子を亡くし、夫との関係もぎくしゃくしていた。夫との会話が減った寂しさをチャット相手との会話で埋めようとするが、ネット詐欺にあってしまい夫婦は破産寸前に追い込まれる。
また、別の場所ではテレビ局のレポーターであるニーナ(アンドレア・ライズボロー)が、未成年がアダルトサイト上で働かされウェブカメラで客と卑猥な行為をしていることを知る。そんな少年の一人カイル(マックス・シエリオット)と接触し、取材を試みる。
3つの物語が進行する群像劇。
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SNSでの嫌がらせ、オンライン詐欺、未成年とアダルトサイト。どれも、舞台を日本に置き換えても十分成り立つと思います。このような事件をニュースで見聞きしても大して驚かなくなってしまったくらい、ネットが私たちの生活を侵食している現在。
ネットの恩恵はとてつもなく大きいし、ネットなしの生活なんてもう考えられません。
それと同時に、ネットを利用した悪意というのは、残念ながら確かに存在する。
ネットでの新しい出会い、繋がりがもたらすもの。
そして、ネットに傾倒すればするほど、実は現実世界のリアルな繋がりが薄れていないか?
そう考えさせられる、良作だと思います。
本作では3つのエピソードが描かれていますが、特にSNSを使った嫌がらせは人を自殺に追い込むほど深刻な問題となっています。
10代のお子さんを持つ保護者の方に、ぜひこの映画を観てほしい!映画の舞台はアメリカですが、日本でも決して他人事ではないはずです。
そして、被害者と加害者両方の父親の心理描写も非常にリアルでした。どちらの立場になっても、親が子を思う気持ちは変わらないし、わが子を愛している。それが故のクライマックスは緊迫感があり、目が離せませんでした。
変に綺麗に仕上げようとしないあのラストの終わり方も、私は良かったと思います。
【和歌山】ニタマ駅長に会いに和歌山電鉄貴志駅へ。たま電車もキュート♡
猫の「たま駅長」で有名な、和歌山電鐵貴志駅に行ってきました🐱
JR和歌山駅と貴志駅を結ぶローカル線、貴志川線の終点駅。紀の川市にあります。
↑駅舎に猫耳が!「貴志駅」よりも「TAMA」の方が目立っています( ´艸`)周辺は閑静な田舎で、ぽつんと現れる可愛い駅舎。
静かな田舎なのですが、ここはさすがの人気ぶりで、多くのたまファンが訪れていました。外国人もちらほら。
↑たま駅長🐱
たま駅長は2015年6月に16歳で亡くなり、名誉永久駅長となりました。
現在駅長を務めるのは、二代目の「ニタマ」さんです。
↑ニタマ駅長!貫禄があります。
ガラス越しなので写真を撮ると反射してしまう💦
↑なかなかカメラ目線をいただけません。毛並みもふさふさ、可愛いなぁ。
お仕事お疲れ様です🍵
ニタマ駅長の勤務時間はホームページにて↓
同じく貴志川線の伊太祁曽駅にも「よんたま」という駅長がいらっしゃるのですね( ´艸`)
↑駅舎全体にたまデザインがあふれていて、どこを見渡してもとても可愛いです。
↑先代のたま駅長のお写真。
↑名誉駅長たま、ニタマ駅長、よんたま駅長のご紹介。
↑ホーム側から。暖簾も可愛いなぁ。
駅内には、「たまカフェ」と「たまショップ」もあります。可愛らしいオリジナルグッズはお土産にも喜ばれそう。
たま電車が貴志駅に停まり、出発までの間は写真タイム🚃たくさんの人がホームで撮影していました。
↑もう、可愛すぎます。可愛い可愛い(言いすぎ)。
↑2両編成の電車にたま駅長のイラストがたくさん。いろいろな表情や仕草の駅長が描かれています。
毛づくろいや伸びをしているところとか、たまりません。実際のたま駅長やニタマ駅長もこんな動きをしているのかな。
電車の中も少しだけ。
↑内部までこんな猫だらけの電車、お部屋みたいで可愛すぎます。これは子どもも喜びますね!座席も壁も猫づくし。
↑本棚まであります。
↑ホームには、先代の名誉駅長たまを祀った「たま神社」があります。ここで今も、駅を見守っていてくれるのですね。
たまが亡くなった時は社葬され、県知事や市長も弔辞を寄せたそうです。
↑日本語以外で書かれた絵馬も。絵馬はたまショップで購入できます。
↑貴志駅の時刻表。
このたま電車のほか、「いちご電車」や「おもちゃ電車」もあるそうで。どれも可愛い、乗ってみたい!
全く観光地ではなかった田舎をここまで有名にした和歌山電鐵とたま駅長。地元に留まらず、たくさんの人に愛され見守られてきたのだなとしみじみ思いました。
ニタマ駅長も無理をせず、元気で長生きしてほしいです。
和歌山電鉄貴志駅
※貴志駅周辺には駐車場がありません。
↓たま駅長のアイディアを生み出した和歌山電鐵小嶋社長の著書↓
Amazonプライム配信の力作ポリティカル・サスペンス映画『ザ・レポート』
映画鑑賞記録。Amazonプライムで配信されている『ザ・レポート』です。日本では劇場未公開。Amazon Studiosが提供する、Amazon Original作品です。
こんな見ごたえのある傑作が未公開だなんて! すごく良かった。私好みです。
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『ザ・レポート』(2019年米)
原題:The Report
監督:スコット・Z・バーンズ
Amazon.co.jp: ザ・レポート (字幕版)を観る | Prime Video
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9.11同時多発テロ後、焦りを隠せないCIAはアラブ系のテロリスト容疑者を次々と拘束していた。FBIの対テロ部門で働くダニエル(ダン)・J・ジョーンズ(アダム・ドライバー)は、上院議員のダイアン・ファインスタイン(アネット・ベニング)に、CIAの尋問プログラムについて調査を行うことを命じられる。調査を進めるにつれ、CIAが「強化尋問プログラム」として、容疑者に非人道的な拷問を繰り返してきたことが判明。この事実を公表しようとするも、CIAと大統領府の妨害を受ける。
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実話を基にした話で、ダニエル・J・ジョーンズは実在の人物。
この原題、元々は「The Torture Report」だったのが、上のビジュアルのようにTortureが黒塗りされ、「The Report」となっています。tortureは「拷問」。
この黒塗りが、CIAが事実を隠蔽していたということを実に上手く皮肉で表しているなと思います。
ところどころに拷問シーンが出てきますので、苦手な人は注意。
ネタバレになるのでこれ以上は下に書きますが、膨大な数の資料を数年にわたってひたすらに調べ、アメリカの闇を暴こうと没頭する主人公の信念とその姿には圧倒されます。アダム・ドライバーの熱演にひきつけられました。
対して、これを観ながらどうしても頭に浮かんできてしまうのが、資料や公文書を隠し通し、「シュレッダーにかけた」なんて答弁が飛び出してしまう我が国ニッポンのお偉い方のお粗末さたるや。憂う…。
<以下ネタバレ含む>
9.11後、アラブ系の人々に対する差別が助長され、特にアメリカにおいては非常に焦りもあったのだと思います。
テロリスト容疑者には何をしてもいい、と思われていたのかもしれません。
CIAは「強化尋問プログラム」とそれらしく称しても、実際行われていたのは明らかな拷問でした。そのプログラムをレクチャーするのは、尋問経験のないお粗末なインテリ。
しかし、拷問は国際的にも禁止されており、いかなる犯罪者に対してもその人権は守られなければならない。
CIAは「強化尋問プログラム」を多数の容疑者に対して行いますが、成果は得られません。成果がないのに見直したり中止したりはせず、それどころかやり方は過激になり、繰り返していた。
その事実を暴こうとするダンを、CIAは妨害します。
調査を続けるうちにメンバーが抜け、CIAの妨害にあい、それでも孤軍奮闘でひたすらに正義を追い求めたダン。
そして、ついにファインスタイン上院議員はついにダンのレポートを公表します。彼女の言葉が深く突き刺さります。
「報告書を完成させるだけではなく、公表できる国でありたい」
日本の政治家に聞かせてやりたいわ、全く。
一度は隠蔽された過ちを認め、公にすることができる。実際はアメリカにももっともっと汚いことや闇はあるでしょう。それでも、このように汚点を認め、堂々と国民に公表することができる。そうあるべきだと、心から思います。
骨太の傑作ポリティカル・サスペンスでした。特に、本当に低レベルな“シュレッダー”答弁が行われたばかりの我が国において、観るべき映画だと思いました。
祖国の政治を誇りに思える人間でありたいよ。
【読書記録】『ジャスミンの残り香ー「アラブの春」が変えたもの』を読んで、エジプトのロックバンドCairokeeを知る
久しぶりの読書記録。
偶然目に留まったこの本を読んでみました。アラブ、中東情勢は不勉強で分からないことだらけ、著者のお名前も全く存じ上げていませんでしたが、吸い込まれるように夢中で読んでしまいました。
『ジャスミンの残り香ー「アラブの春」が変えたもの』田原牧著 集英社(2014年発行)
中東問題、アラブ世界の話は複雑で難しいです。私の知識不足で、この本を一通り読んでみても、分からないことだらけ。
そんな私でも、ページをめくる手が止まらないほど面白く読めたのは、やはり著者の力量なのだと思います。
著者の田原さんは、中日新聞社の特派員としてカイロ支局に勤務し、カイロでアラビア語留学をされた経験のある方。約30年にわたりアラブ世界を見続けてきているアラブ通です。
この本は決して、「アラブを知る解説書」のような教科書的な内容ではなくて、著者の主にエジプトとシリアを中心とした現地での体験を基に執筆されており、ルポタージュのようで臨場感があります。
アラブの春の実態とは何だったのか。革命は徒労だったのか?
私はアラブ諸国には行ったことがありませんが、活字を読んでいて、現地の光景が目に浮かぶようでした。青年たちが集う広場、タクシー運転手との会話、お店のフレンドリーな主人との何気ない会話、 目の前を流れるナイル川…。一般市民の側から、革命はどう見えていて、どんな思いでどのように関わって参加して、革命を振り返ってどう思っているのか。日本にいてはなかなかメディアが報じない、現地の人々の声は貴重です。
訪れたことのないエジプトの空気や人の温かさが活字を通して伝わってきて、ワクワクする場面もありました。
また、主に第二章「ジャスミンと紫陽花」では、日本の「紫陽花革命」を引き合いに出しながらアラブの春と比較もしています。2012年、反原発を訴えて首相官邸前に10万人以上(主催者発表では20万人)が集まりデモをした、紫陽花革命。
アラブの春と日本のデモを比較することには多少唐突というか、違和感も感じたものの、新聞記者である著者ならではの分析は勉強になります。
中東情勢やアラブ世界に詳しくなくても、「もっと知りたい」と思わせてくれる、パワーを感じる一冊でした。
もっと世界のことを知りたいし、目を向けなければ。
さて、この本を読んで、ちょっと本筋からそれるかもしれませんが、面白い出会いというか収穫がありました。
この本の中で紹介されていた、エジプトの「社会派ロックバンド」カイロキー(Cairokee)に興味を持ちました。
このバンドは二〇一一年年のムバラク打倒闘争と並行して、闘争を担った人々を鼓舞した『スウト・エルホッリーヤ(自由の声)』という曲で一躍、社会派ロックバンドとして注目を集めた。
(本書より)
エジプトのバンドなんて全く知らなくてイメージもなかったのですが、興味をそそられて、本書で紹介されている曲のMVをYouTubeで探してみたらありました。というか、カイロキーのオフィシャルチャンネルがあります。以下の3曲は本書で紹介されています。曲名の日本語は本書より。
聴いてみたら、私アラビア語は全く分からないのに、なんだかとても刺さる。印象に残る曲たちです。
『ナース・ビトラアス・ワ・ナース・ビトゥムウト(人びとは踊り、人びとは死んでいく)』(英語字幕あり)
『イスバト・マカーナック(君の場にとどまれ)』
『ヤー・エル=ミダーン(広場よ)』(英語字幕あり)
アラビア語が分からないのが悔しいです。世界にはまだまだ、知らないミュージシャン、知らない音楽がたくさんあります。
カイロキーというバンドを知れたことは、この本の思わぬ副産物となりました。嬉しい収穫だなぁ。
【和歌山】秀吉に攻められた歴史を持つ大きな寺院。40mの大塔が美しい根来寺へ
和歌山県岩出市にある根来寺(ねごろじ)へ行きました。新義真言宗の総本山です。
春は桜の名所、秋は紅葉の名所としてにぎわうスポットです。そんなことは気にせず2月になってから訪れましたが。
広い敷地に大塔が映え、趣ある風景。なかなか見ごたえのある寺院でした。
根来寺は、1132年に高野山の学僧であった覚鑁(かくばん)上人が開祖。覚鑁上人は肥前国(幻現在の佐賀県)の方だったのですね👀1143年に亡くなりました。
その後、15~16世紀には全国から学問を志す僧侶が集まる大寺院として発展し、大きな勢力を備えるも、豊臣秀吉に攻め入られ、大塔などの主要伽藍を残して全山焼失。やがて、紀州徳川家の庇護を受けて復興されたという歴史があります。
(参考)根来寺の歴史↓
↑この通り、境内はわりと広く、歩いてじっくり回りながら楽しめます。
下の方に注目。「春は桜(7000本) 夏は青葉・ほたる 秋はもみじ 冬は静寂の境内が楽しめます」に笑いました。はい、静寂を楽しみに来ましたよ~(・´з`・)
駐車場に車を停め、まずは不動堂の方へ行ってみました。
というか、境内にもその周辺にも、スマホを見ながらそろそろと歩く人たちを何組か見かけました。聞くところによると、どうやらここはポケモンが出るスポットらしく、皆さんポケモンを探している人らしい…。ポケモンGOですね。私はやっていないので分からないのですが、こんな歴史あるお寺でどんなポケモンが出るのでしょう?
↑この奥に不動堂があります。
↑愛犬ぽー君も連れて行きました🐶
この不動堂は、「身代り不動」として信仰を集めているそうです。厄除けや交通安全の祈願で訪れる人が多いそう。
絵馬が面白いです!
↑「厄」の字がインパクト大の絵馬。厄年の方が祈願していくのでしょうね。厄除けに効きそうです!
厄年の方はぜひ(笑)。
↑不動堂からの戻り道、「ようお詣りです」の文字にほっこり。
さて、不動堂を後にし、根来寺メインの見どころの方に行くには、入山料を払う必要があります。大人(中学生以上)500円、子どもは無料。
ぽーも一緒だったのですが、受付の看板には、ペットは入れない旨書いてあってがっかり…と思いきや、受付の人に聞いてみたところ、「抱っこなら大丈夫です」と言ってもらえました。ぽーが小さいのと、この日は人が少ないのとで許容していただけたのでしょうか。ありがたいです。感謝感謝。
※いつもペットOKとは限りませんので都度ご確認ください。混雑時は特にNGの可能性が高いです。入ることができた場合でもマナーをしっかり守りましょう。
ということで、ぽーを抱っこ+スリングで連れて行きました。
↑左が国宝に指定されている大塔、右が大伝法堂です。
大塔は立派で青空に映えます。桜の季節はきっと美しいだろうなぁ。
↑大塔。高さは40mです。秀吉に攻め入られた際にも戦火を免れ、当時火縄銃で打たれた弾痕も残っています。
↑大伝法堂。本尊に祀られている大日如来像が神々しいです。
↑重要文化財の大師堂。弘法大師空海像を本尊として祀っています。
続いては、奥の院へ。
↑この参道をまっすぐ進み、一番奥に覚鑁上人が眠っています。
そして、名勝庭園へ。
↑ここから庭園に入るのですが、犬も一緒なので中に入るのはやめておきました。
石庭が綺麗に整備されているのが外からも見えました。
↑庭園の西側には、光明殿。
向かい側には、鐘楼があります。写真は撮り忘れ。鐘楼のたたずまいを見て、なんだか中国を思い出しました。
鐘楼をくぐって道路側に降りると、敷地を抜けます。
道路の方からぐるっと回って、駐車場へ戻りました。
↑敷地内には「もみじ谷公園」もあります。紅葉の季節はきっと綺麗だろうな。
こうして、広い敷地内をたくさん散策して訪問を終えたのですが、あ、あれ~?
見どころの一つである、大門を見逃しているではありませんか💦
大門は、駐車場からさらに西側の、ぽつんと離れた位置にあったのですね。見つけられず帰ってしまいました(笑)。
写真ではとても立派で、見ておけばよかったなぁ。とほほー。次回近くを訪れたら、大門を一目見てみたいものです。
冬の静寂を求めて訪れる人はそれほど多くないと思いますので(笑)、やはり桜や紅葉の季節であればもっと風情を楽しめそうですね。
根来寺を後にして、道の駅「根来さくらの里」へ。
↑この通り、とても小さな道の駅です。産直の農産物や地元の特産品などが販売されています。左手の建物は休憩所、中で飲食できます。
↑今日もドライブ楽しかったね~🐶
道の駅「根来さくらの里」
チャン・ツィイーとセシリア・チャンが美しい。映画『危険な関係』
映画鑑賞記録。 2012年の中国映画『危険な関係』を観ました。フランスの同名小説が原作。主演はチャン・ツィイー、チャン・ドンゴン、セシリア・チャンと豪華です。
私は中国語字幕で鑑賞しました。というかこれ、何年か前にも観たことがあったけれど、結末をすっかり忘れていたのでした(笑)。ということで2度目の鑑賞。
Amazonプライムでは日本語字幕で観ることができます。
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『危険な関係』(2012年中国)
原題:危险关系(『危険関係』)
監督:ホ・ジノ
出演:章子怡(チャン・ツィイー)、チャン・ドンゴン、張栢芝(セシリア・チャン)ほか
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舞台は1931年の上海。 富裕層が集まるパーティで、女性実業家の莫婕妤(モー・ジエユー、張栢芝)は、恋人が自分を捨てて16歳の少女・貝貝(ベイベイ、王奕瑾)と婚約したことが許せず、貝貝の処女を奪うようプレイボーイの謝易樊(シエ・イーファン、チャン・ドンゴン)に持ちかける。しかし、易樊にとって16歳の少女を落とすのはたやすく、面白くない。そこで易樊が目を付けたのは、未亡人の杜芬玉(ドゥー・フェンユー、章子怡)だった。
易樊と婕妤は、易樊が芬玉を落とせるかを賭けてゲームをする。そして仕掛けた罠に、それぞれがはまっていく。
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まあ、18世紀フランスの小説が原作なので、ストーリー自体は古典的な展開が否めないし、大げささもあり、古さもあり。誰かに共感したり、大きな感動を覚えたり、ということはそれほどなかったかな、と。
それがかえって、舞台を観ているようで世界観に浸れました。
1931年の上海、あのキッチュでコケティッシュな世界観が素敵ですよね。これぞ「魔都!」というような、オールド上海の妖艶な雰囲気。多くの外国人が上海に移り住み、繁栄した、そんな時代感を感じられるセットに魅せられます。
上海旅行に行ったら誰もが必ず訪れるであろう、外灘(ワイタン)の洋風建築群なども出てきて、1930年代に生きたわけではないのに、なんだかとても上海が懐かしくなってしまいました。
なんといっても、チャン・ツィイーとセシリア・チャンが美しいです。亡き夫の遺志を受け継ぎ社会貢献に努める貞淑な未亡人・芬玉を演じるチャン・ツィイー、人を陥れる悪女の婕妤を演じるセシリア・チャン。どちらもはまり役でした。
そんな女性陣との駆け引きを繰り広げる、プレイボーイの易樊を演じるチャン・ドンゴン。私チャン・ドンゴンさん好きなのですが、いやぁ、ため息の出るカッコよさでした(笑)。私が好きな韓国人俳優さんは、チャン・ドンゴンとイ・ビョンホン。今の韓流ファンの若い方からすればだいぶ古いのだろうか…って、どうでもいいか(笑)。ちなみに、チャン・ドンゴンを漢字表記すると「張東健」なんですね~。
他には、『サンザシの樹の下で』で周冬雨ちゃんの相手役を演じた竇驍(ドウ・シャオ)が、貝貝の美術家庭教師役で出ていました。
中国語レベルはそれほど高くないと感じましたので、中国語学習者さんにはぜひ中国語字幕で観てみることもおすすめしたいです。
世界を見てアメリカを、そして日本を考える。映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』
映画鑑賞記録。2015年のドキュメンタリー映画『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』をAmazonプライムで観ました。
『華氏911』や『ボーリング・フォー・コロンバイン』などで有名なアメリカのドキュメンタリー映画監督、マイケル・ムーア作品。
これ、すごく面白かったし、非常に勉強になりました。当然アメリカ人に向けた作品なのだけれど、日本人にとっても驚くような気づきがたくさんあります。日本はどうなんだろうか…と、考えさせられるトピックスがふんだんに散りばめられていました。
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『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2015年米)
原題:Where To Invade Next
監督:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーアほか
Amazon.co.jp: マイケル・ムーアの世界侵略のススメ(字幕版)を観る | Prime Video
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これまで侵略戦争を繰り返してきたが良い結果にならないアメリカ。国防総省から相談を持ち掛けられたマイケル・ムーアは、自らが“侵略者”となって外国へ“侵略”の旅に出る。それぞれの国では“常識”となっているがアメリカ人にとっては目から鱗の良い取り組みを“略奪”し、アメリカに持ち帰るのだ。
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マイケル・ムーアがイタリア、フランス、フィンランド、スロベニア、ドイツ、ポルトガル、ノルウェー、チュニジア、アイスランドを訪れ、各国のさまざまな取り組みを取材し紹介する内容です。
テーマは多岐に渡ります。イタリアやドイツの働き方、フランスの学校給食や性教育、フィンランドの教育、ドイツの歴史教育、チュニジアやアイスランドの女性の社会進出、ポルトガルのドラッグ事情と警察、ノルウェーの刑務所、などなど。
それらのすべてに、マイケル・ムーアは驚きます。そして私も、驚嘆するトピックスばかりでした。
私は本当に、世界のことをまだまだ知らなさすぎると痛感しました。そして、多くの日本人にも観てほしいです。特に、「日本スゴイ」に未だ囚われている中高年世代に。そして、これからの日本に希望と不安を抱える若い人たちに。世界にもっともっと目を向けてほしい。
そして、その中にはきっと、日本を良くするヒントがたくさん隠れているはずなのです。もちろん、何でもかんでも取り入れられるはずはなく、真似できないことも多くあるでしょう。私は決して、日本が劣っている、外国が優れている、なんて声を張り上げているのではないです。日本の素晴らしいところはたくさんある。
しかし、視野と見聞を広げて、参考にし、客観的な観点からも日本が抱える問題を考えるきっかけにすることはできるはずです。そこから、一つずつでも良くできることがあれば進めていけばいい。何より、これから大人になる若い世代や子どもたちのために。老害ばかりが得する利権なんてもうまっぴらです。
もちろん、この映画で紹介されている内容は、各国の言わば“良いとこどり”。良い面ばかりを見せて、実際は問題がたくさんあるじゃないか。そう言う人はたくさんいます。そんなことは百も承知。
しかしムーア監督は、ここで各国のマイナス面やネガティブな話題を入れることはあえてしなかった。それにより一つの作品としてまとまっていると思うし、私は支持します。
この中で紹介されているトピックスの中の一つでも興味を持ち、ムーア監督が紹介しなかったことを各自が自分で掘り下げて調べ、知り、その過程で「一見良いことづくめのように見えるが実はこんなマイナス面もある」「もし自国でこの取り組みを行ったらどうなるか」などと自分の力で考えること。そのきっかけをムーア監督は与えてくれただけにすぎないし、映画を観た後に一人でもそのようなアクションを起こす後押しをしてくれたのではないかと思っています。
(以下ややネタバレあり)
私が特に印象的だった各国のパートについてメモ。
・フランスの給食
とにかくこれ、観てほしいわ…。
・フィンランドの教育
先生たちの言葉
「テストで点を取る訓練は教育ではない」
「学校って 幸せになる方法を見つける場所じゃない?」
学校選びに迷うことはなく、近所の学校に通う。学校は全部同じレベル。学校を設立し授業料を取るのは違法。だから私立校はほとんど存在しない。
「アメリカでは教育はビジネス ここでは生徒優先」
・スロベニアの大学
スロベニアは大学の学費が無料となっている国の一つ。
(他にはアルゼンチン、オーストリア、ブラジル、キューバ、チェコ、デンマーク、エクアドル、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ルクセンブルク、メキシコ、モロッコ、ノルウェー、パナマ、スロベニア、スウェーデン、チュニジア、ウルグアイ、ベネズエラ。映画より)
教育レベルは非常に高い。アメリカの学費を払えなくてスロベニアの大学に通うアメリカ人学生は、「こっちの高校はアメリカの大学より上」と話す。
・ドイツの働き方
休暇中の社員に接触することは違法。多くの会社で終業後の社員にメールを送らない規則を採用。メルセデス社は、上司が自宅にいる部下へメールできないシステムを採用。社員はメールに答える義務はない。
上司は週末社員に介入してはならない。休暇中や終業後の社員の生活に立ち入るのも禁止だ。
・ドイツの歴史教育
「ごまかさず なかったことにもしない “生まれる前のこと”と片づけない」
負の歴史をしっかりと授業で教える。対してアメリカはどうだろうか。黒人差別や奴隷制度のことは教えているのか。今でも差別がなくならず、繰り返すのはなぜか。
そして、私たち日本はどうだろうか。
・チュニジアの女性運動
「女性も一人の人間 オマケじゃない」
一人ひとりに何かしら考えるきっかけをくれる映画ではないでしょうか。邦題がちょっと物々しいですが決して恐ろしい内容ではなく、ドキュメンタリー映画としては見やすく良作だと思います。