携帯電話には秘密が詰まっている。イタリア映画『おとなの事情』の中国リメイク版『来電狂響』
昨年公開の中国映画、『来電狂響』をネットで鑑賞。コメディといえばコメディだけれど、シュールさも備えており、ブラックコメディのような雰囲気もあり。
※Amazonにまだ映画情報がないため、主題歌のジャケット画像で代替しました
『来電狂響』(2018年中国)
監督:于淼(ユー・ミャオ)
出演:佟大為(トン・ダーウェイ)、馬麗(マー・リー)ほか
友人同士の7人の男女が夕食会に集まる。2組の夫婦、1組のカップル、そして1人の女性。
その中の一人が、ゲームをしようと言い出した。「携帯をテーブルの上に出して。着信があれば全てスピーカーで通話し、メッセージが来たら全員に見せる。隠し事はなし」と。
夫婦間、カップル間、友人間で試される信頼度。隠したいことがある者、パートナーを疑う者。彼らの人間関係はゲーム終了まで保たれるのか。
友人関係の中国人7人が集まれば、しゃべるしゃべる。会話にぐいぐい引き込まれ、あっという間の100分間でした。飽きずに観られてなかなか面白かったです。
映画の舞台となっているのが、7人のうちの1組の夫婦、文伯(田雨)と戴戴(代楽楽)夫妻の家。この家の中からほとんどカメラが動きません。ずっと同じセットでしゃべりっぱなしの7人。場の転換がほぼ起こらない、こういう映画ってたまにありますよね。新鮮で独特の印象を与えてくれるので、私は結構好きです。
セリフにありましたが、私たちも分かっている通り、スマホはもはや通話やメールだけのものではなくて。
通話履歴、チャット履歴、動画の視聴履歴、レストランの予約履歴、デリバリー注文履歴、オンライン決済履歴、シェアサイクルに乗った履歴、タクシーやハイヤーを呼んだ履歴、飛行機の予約履歴、などなど、などなど。
私たちの行動の大部分が、スマホに証拠として詰まっているわけです。
いくら親しい夫婦やカップル、親友だからといって、そのスマホをさらして全て見せることができるのか。隠し事がないに越したことはないけれど、なかなかそうもいかないのが人間ですよね、という声が登場人物から聞こえてきそうです(笑)。
そしてねぇ、なんとも後味の悪さが残るのです、この映画。でも、気分が悪い終わり方ではないと個人的に感じたし、
この後味の悪さで終わるからこそ、私にはシュールなブラックコメディのように思えたのですけれどね。
主人公が7人いるので、特別誰が目立っていたというわけではないですが、それぞれのキャラクターも面白かったです。
携帯をテーマにしたシュールなコメディといえば、ちょっと古いですがフォン・シャオガン監督の『手機』を思い出しました。
この映画、イタリアでヒットした映画『おとなの事情』の中国リメイク版とのこと。
イタリアのオリジナル版はまだ観ていないので、ぜひこちらも観て中国版と比較してみたいです。