Amazonプライムで、ドラマ『グッド・ワイフ』全7シーズンを観終えました。いやー、ハマった!
アメリカドラマはいろいろと観てきましたが、これも外さない面白さでした。
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『グッド・ワイフ』全7シーズン(2009~2016年米)
出演:ジュリアナ・マルグリーズ、クリス・ノース、 クリスティーン・バランスキーほか
舞台はシカゴ。ロースクール出身のアリシア・フロリック(ジュリアナ・マルグリーズ)は主婦。夫のピーター(クリス・ノース)はイリノイ州検事、ティーンエイジャーの2人の子どもを育てている。ある日、ピーターが女性問題絡みの収賄罪で逮捕される。家庭を守るため、アリシアは13年振りに弁護士として働きだす。
アリシアに手を差し伸べたのは、ロースクール時代の友人である弁護士、ウィル・ガードナー(ジョシュ・チャールズ)だった。ウィルはやり手のベテラン女性弁護士ダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)と共に、シカゴ大手のロックハート&ガードナー法律事務所を経営している。事務所にアソシエイト候補として雇われたアリシアだったが、試用期間後のアソシエイトの椅子は一つ。アリシアはハーバード大卒の若手新人ケイリー・アゴス(マット・ズークリー)とその座をかけて競争する。
このドラマの魅力はいろいろ挙げられると思いますが、私が思う点を列記してみると。
映画好きならずともその名を知っているであろう、名映画監督のリドリー・スコット&トニー・スコット兄弟が製作総指揮を手掛けています。私はそのことを知らずに観始めたので、クレジットで2人の名前を見た時はテンションが上がりました。この2人が手掛けるのなら、面白くないわけがない!
ただ、トニー・スコットは2012年に亡くなってしまったため、シーズン5からは製作総指揮がリドリー・スコットのみになっています。
●脚本が秀逸!飽きさせない裁判シーンとアメリカ選挙の裏側
ストーリーは主に二本の軸で進みます。一つは、一話完結の裁判の話。その裏で進むもう一つは、アリシアのプライベートな話。
一話完結の裁判のテーマは、殺人、著作権、不当解雇、人種差別、医療ミス、言論の自由、軍事問題、遺産相続、離婚調停など本当にさまざま。脚本チームに弁護士が加わっているそうで、非常にリアリティがあります。アメリカの裁判の様子を垣間見ることができると同時に、アメリカの社会問題として捉えることもできます。
裁判では真実を求めることも大事だけれど、いつも真実が勝つとは限らない。
裁判で勝ったけれど実はそれが誰かの思惑の上で踊らされた結果だったり、負けたけれどその後真実が視聴者だけに明かされたり。
また、明らかに犯人である犯罪者を弁護することへの葛藤や、麻薬王ビショップとの関わり方など。弁護士は必ずしも正義の味方とは限らなくて、勝つために、クライアントを守るために、さまざまな駆け引きや時にはグレーな手を使って戦う様子は見ごたえがあります。
その裁判の話の裏で描かれる、アリシアの“グッド・ワイフ”としての話。夫ピーターは娼婦と浮気をし収賄罪に問われ、それでも離婚せず“良き妻”を演じ続けるアリシア。
マスコミの目に自身もさらされながら、息子と娘を守る母。ピーターのことはきっと、ずっと許せなかったのだろうと思います。ピーターの裏切りによって深く傷つきながらも、働きながらどんどん強くなるアリシア。自身もピーターへの愛は冷め、地位のある夫の肩書を利用しながら自身も不倫はするし、強がるけれど愛されたい憎らしい女性を開き直ったかのように演じていたような。
さらに、アメリカの選挙の裏側が垣間見れるのも非常に面白いです。州検事選挙、州知事選挙、そして大統領選挙。アメリカでは日本よりもずっと選挙が身近なもので生活の中で大きな地位を占めていて。候補者が票を獲得するために、ネガティブ・キャンペーンも含めてどのようなことをやっているのか、少しでも知ることができて面白い。
ピーターの選挙参謀であるイーライ・ゴールド(アラン・カミング)がとってもいいキャラで、私のお気に入りです。
全体を通して振り返ると、シーズン4までは純粋に楽しめる展開で素直におすすめできます。ただ、シーズン5でアリシア自身が選挙に出るという方向転換が始まってからは、ストーリーの向かう所がちょっと変わってきて、キャストにも大きな変化があり、好みが分かれそう。アリシアがね、どんどん、どんどん嫌な女になっていくのです。私もシーズン5からはアリシアが嫌いになりました(笑)。主人公が好きではないドラマってあまりないかも(笑)。それでもストーリーがやっぱり面白いから、最後まで夢中で観てしまいました。
●キャストとキャラクター設定が魅力的、ゲストも豪華!
アリシア(ジュリアナ・マルグリーズ)は、最初は家庭を守る“良き妻”だったのが、どんどんと嫌な女になっていくのがとても人間くさくて。自分も不倫するし、人のことも裏切るし。でもそんな主人公だったからこそ、タイトルの“グッド・ワイフ”=良き妻って何なんだろう?と、考えさせられました。
ピーター・フロリック。演じるのはクリス・ノース、私は見た瞬間分かりましたよ~。『セックス・アンド・ザ・シティ』のビッグ!『セックス・アンド・ザ・シティ』も大好きなドラマです。『グッド・ワイフ』ではダメ夫だけれど取り繕うのが上手い政治家、ハマり役でした。
ダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)。事務所の共同代表でやり手のベテラン女弁護士。自身に満ち溢れていて、働く女性の憧れ的な存在です。年をとっても、こんな風に背筋をピンと張って颯爽と歩きたい!と思わせてくれる女性。ヴィンテージとモダンをうまく取り入れたファッションも素敵です。
カリンダ・シャルマ(アーチー・パンジャビ)。事務所の調査員で、あらゆる手段と人脈から、手掛かりや証拠を集めてくる超有能なスタッフです。インド系のミステリアスな美女でバイセクシャル、ストレートの女性も彼女といると虜になってしまうほどの魅力的な女性で、人気キャラの一人。私も好きなキャラでしたが、シーズン6で降板してしまい、シーズン7に登場しなかったのがとても残念でした。
ケイリー・アゴス(マット・ズークリー)。アリシアの同期でライバル、その後いろいろな目に合うある意味苦労人。他の役柄であれば無難なイケメンキャラだったのかもしれないけれど、成功も失敗も経験するケイリーの役は憎めなくて応援していました。欲を言えば、もっと活躍してほしかった。
レギュラー陣以外にも、ときどき登場する裁判官やライバル弁護士、クライアントたちもユニークな人たちばかり。
エキセントリックだけれど有能な弁護士のエルスベス・タシオニ(キャリー・プレストン)、障がいを抱えているがそれを逆手にとって姑息な手で攻める弁護士ルイス・ケニング(マイケル・J・フォックス)をはじめ、一筋縄ではいかない人たちが物語に花を添えています。
ゲストも豪華で、マイケル・J・フォックスのほか、『フレンズ』のチャンドラー役でおなじみのマシュー・ペリーや、『アグリー・ベティ』のアメリカ・フェレーラ、さらに昔映画でよく観たクリスティーナ・リッチなど。現実のイリノイ州知事も本人役でちらっと出演したり。ドラマの人気ぶりがうかがえます。
●アメリカドラマを観て思うこと、多様性について
このドラマに限らず、現地に住んでいない私にとって、ドラマを観ることは現地の社会を垣間見て、学ぶことができるのが何よりの楽しみです。同時に、英語のリスニング力を鍛え続けれるためでもあるけれど。(そのため必ず、吹替ではなく字幕で観ます)
アメリカには多種多様な人が同じ社会に暮らしている。人種、宗教、性的志向、支持政党など、“自分と違う人が当たり前”な社会。
もちろん、人種差別も宗教的差別も、性的マイノリティに対する差別も、ある。あるけれど、排除はしない。隣の人が自分と違うことが当たり前な中で、もがいて、日々を必死に生きて戦っている。その群像劇がとても魅力的に映るんです。このドラマの中でも、人種問題や性的志向などの話題がよく出てきます。
そんなアメリカの社会をドラマを通して垣間見ると同時に、日本はどうだろう?と考えます。日本は多様性にあまりにも鈍感すぎる。“自分と違う人”を受け入れず、まともな議論もせず、何かにつけて攻撃を仕掛け排除しようとする…そんな傾向さえ、今の日本社会に感じています。
現地に行くのが一番だけれど、現地に行けなくても今はメディアを通して外国のことを知る手段がたくさんある。もっと外に目を向けて、日本のことを考えようよ。外を知った上で日本に目を向けると、日本の問題点、そして気付かなかった素晴らしい点が別の角度からも見えてくる。私はそう思います。そんな一助になってくれる海外のエンタメは大好きです。
●スピンオフも制作!
『グッド・ワイフ』のその後を描くスピンオフドラマ『The Good Fight / ザ・グッド・ファイト』が制作され、こちらもAmazonプライムで配信中です。これも観ていますが面白いー!
『The Good Fight / ザ・グッド・ファイト』の主人公はダイアン。『グッド・ワイフ』の登場人物もちょこちょこ出演していて嬉しいです。
ちなみに、『グッド・ワイフ』は日本でも常盤貴子主演でリメイクされていますが、そちらは観ていません。ウィルは小泉孝太郎、カリンダは水原希子…。うーん、オリジナルのアメリカ版が好きな分、イメージが…。韓国でもリメイクされています。
海外ドラマで何を観ようか迷っている人、『グッド・ワイフ』おすすめです!
【最終話まで観終えたネタバレ感想】
シーズン5からは怒涛の展開。アリシアの選挙戦、ウィルの死、アリシアとケリーの独立など大きな出来事が重なり、なんだかドロドロ感が増しました。
独立はね…せっかく独立して、アリシアの自宅からスタートして、新しい気持ちで頑張り出したのも束の間、ダイアンがまた入って、前の事務所に戻って、結局独立したのに内部の人間関係で疲弊して。独立したのは無駄だったような気がするし、内部の人間バトルに後半は多少辟易しました(笑)。
一番気の毒だったのは、ケイリー。野心あふれる若手弁護士が、人間関係に疲れて弁護士の職を去って。でも、最後の方で大学で生き生きと教える姿が映されて、ちょっと救われました。
そしてあのラストシーン。アリシアはダイアンから食らった平手打ちの痛みを忘れないでほしい。
それにしても、アリシアがなぜモテるのか分かりません~(笑)。しかし、ハタから見ると嫌な女でも、実は一人の弱い中年女性。
ダイアンからぶたれたその後。彼女はどういう風に生きていくのか、想像を巡らせてしまう終わり方でした。