元・ふわふわ北京日和

北京住み→日本に本帰国。現在は中国に関係あったりなかったりの気ままなブログ。

清朝末期に実在した女性商人がモデル。中国ドラマ『月に咲く花の如く』が面白かった

中国の大ヒットドラマ『月に咲く花の如く』(原題『那年花開月正圓』)がAmazonプライムに登場しているではないですか!気になっていたので観てみました。

私は中国ドラマで中国語を勉強するのが好きですが、これまで現代ドラマしか観てきませんでした。歴史モノはどうも興味が持てなくて。リアリティに欠けるし登場人物に共感しづらいなぁとか、昔の中国語を聞いても難しいしあまり中国語学習には役に立たないなぁとばかり思っていたので。

それでも評判の高い人気ドラマは観てみようかな、観たらハマるかもと思い、『月に咲く花の如く』と同じ孫儷(スン・リー)主演の『宮廷の諍い女』を観てみたことがあるのですが、全然ハマれなくて10話すぎくらいで脱落しました😅

しかし、この『月に咲く花の如く』は、そんな歴史ドラマに抵抗のある私が観ても、とても面白かった!これはおすすめできます。全74話と長いですが、最後まで飽きることなく楽しめました。

 

『月に咲く花の如く』(2016年中国)

原題《那年花开月正圆》(『那年花開月正圓』)

出演:孫儷(スン・リー)、陳暁(チェン・シャオ)、何潤東(ピーター・ホー)、任重(レン・ジョン)ほか

baike.baidu.com

↑この百度百科のページ上部にある、陳暁のインタビュー動画。めちゃくちゃカッコいいですね~。ドラマでは何潤東演じる呉聘の方が好きでしたが、陳暁の美形っぷりは見逃せません。

 

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清朝末期、陝西省・涇陽。幼い頃に養父・周老四(ジョウ・ラオスー、劉佩琦)に拾われた周瑩(ジョウ・イン、孫儷)。放浪癖のある自由気ままな父に連れられ、各地を転々とし大道芸や詐欺で日銭を稼ぎ生きてきた。しかし、涇陽の富豪・呉家の若旦那である呉聘(ウー・ピン、何潤東)と出会い、ひょんなことから呉聘の妻になる。

周瑩は持ち前の商才を発揮し、商人としての道を歩み始めるが、その先には数多くの試練が待ち構えていた。

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↑こちらは第一話のシーン。周瑩と養父の周老四が大道芸をしています。(画像をクリックするとAmazonプライムページに飛びます) 

 

さらに、YouTubeに予告編がありました。

www.youtube.com

↑「ラブ史劇超大作!」って言葉が気に入らない💧ラブ史劇、って言われても…全然響かない、むしろシラケる(笑)。

海外ドラマや映画の日本でのPRには、邦題を含め大いに不満があるのはいつものことですが、これくらいにしておきます(笑)。

 

(注:以下、ネタバレを含みます!)

 

 

周瑩は、実在の人物です。

このドラマの魅力はやはり、主人公周瑩の魅力なしには語れませんね。自由気ままで飄々と好きに生きる養父に連れられ、大道芸や詐欺でその日暮らしをしていた周瑩が、呉聘との出会いにより、有力な商人の呉家の一員となり、人生が変わります。

呉聘と、呉家の大当主で呉聘の父である呉蔚文(ウー・ウェイウェン、張晨光)から大きな影響を受け、商売に目覚めた周瑩。

まだ、女性が学問や仕事で人前に出ることが良しとされておらず、認められることが今よりもずっと難しかった時代に、周瑩は明るく物怖じしない性格で、経験を積み商才に磨きをかけ、一人前の商人として手腕を発揮していきます。呉家は陰謀により冤罪で貶められ、没落。周瑩は最愛の呉聘と、最も尊敬する呉蔚文を亡くした後、呉家の大当主となり呉家を再建させます。

 

周瑩が本当に魅力的なヒロインでした。魅力的だからこそ妬まれ敵も多く、何度もひどい目に遭い、陥れられ、生命の危険にもさらされます。しかし、情に厚く人を大事にする周瑩の周りには、周瑩を慕い支える人も多く集まり、共に困難を乗り越えていく。元々敵だったり、自分を陥れようとしたりした人を、和解どころか自分側に引き入れてかけがえのない仲間にしていく手腕には敬服せざるを得ません。

多くの人に支えられ、そして多くの人との別れも経験し、何度も傷ついて。それでも前に進み続ける周瑩は、応援したくなる人物です。

ドラマでは事実と異なる点も多々あるでしょうし、どれほど史実に忠実かは分かりません。しかし、そう遠くない昔の中国(清)に、周瑩という女性が実在したということを知れたのは、とても嬉しいことです。 

 

そんな周瑩をとりまく人たちも、魅力ある人物ばかりでした。

周瑩が愛した2人の男、夫の呉聘と、呉家のライバル沈家の放蕩息子・沈星移(シェン・シンイー、陳暁)。呉聘は早くに亡くなってしまい、未亡人となった周瑩を一途に思い続ける沈星移の人間としての変化も見ごたえがありました。

最初はただのどら息子だったのが、沈家の看板から抜け出すように自分の道を追い求め、上海で西洋人と商売を始めたり、(行かされたとはいえ)日本に留学したりして世の中を知り見聞を広め、最後は革命家として散ることを選んだ。彼の生き様もまた、このドラマの大きなテーマなのだろうなと思いました。

 

そして、清廉潔白でカタブツ役人の趙白石、呉家の叔父や妻たち、使用人たち、周瑩のよき仲間であり続けた王世均たち。敵となる杜明礼や胡咏梅ら。

それぞれの人物描写、心情の移り変わりもよく描かれていて、見入ってしまう場面が多かったです。

とはいえ、個人的には不満な点もあって、時代モノだからそうなってしまうのはやむを得ないかもしれませんが、主要キャラがバタバタと死んでいってしまうのは残念。悪役は簡単に死ぬのではなくて報いを受け裁かれ、生きて反省してほしいのに…と思う死に様の多いことよ💧

 

清朝末期が舞台で、時代背景も興味深く見ていました。西洋人を怖がったり、かと思えば欧米列強の租界となった上海はいち早く開けて発展を始める様子など。私は以前上海に住んでいたので、外灘の洋館が立ち並ぶエリアなどを思い出し、あの場所は昔こんな感じだったのかなぁ、と思いを馳せながら観ていました。

商売がテーマのドラマなので、当時の商人や商いの様子はもちろん、周瑩が始めた当時は画期的だった持ち株制度や、銀行の登場など。そしてその時代ならではの、アヘンが引き起こした庶民への悲惨な影響や、ドラマの終盤では、義和団の乱で北京を追われ西安に逃げてきた西太后や光緒帝も出てきました。ドラマ全体を通しても、混乱の時代に腐敗しきっていた役人、当時の政治の様子も垣間見ることができます。

 

キャストに関しては、周瑩役の孫儷がやはり素晴らしいですね。彼女の出演作を初めて観ましたが、ハマリ役だと思いました。『宮廷の諍い女』にハマれなくてイマイチ好感が持てなかったのですが、印象が変わりました。

呉聘役の何潤東(ピーター・ホー)、沈星移の陳暁(チェン・シャオ)も良かった。ベテラン俳優さんたちも本当上手いです。陳暁は本当に美形で、辮髪でもその端正な顔立ちは目を見張るものがありますね。

ところで、男性は辮髪の時代。百度百科によると、男性キャストは皆頭髪を剃って撮影に臨むことを要求されたそうです。カツラで代替することは許されなかったと。

那年花开月正圆(2016年丁黑执导电视剧)_百度百科

 

こちらの特集記事に、キャストのインタビューや解説記事などがたくさん載っていて嬉しいです。このドラマが好きな人は必見。

www.cinemart.co.jp

 

骨太で見ごたえのある、質の高い中国ドラマが観られて嬉しいです。

これを機に、他の歴史モノも観てみようかな。

 

Amazon.co.jp: 月に咲く花の如くを観る | Prime Video