【和歌山】50年に一度だけ公開される秘仏に会いに。紀三井寺(和歌山市・御朱印)
先日、和歌山市へ行った際に、初めて紀三井寺(きみいでら)を訪れました。
和歌山の観光地としても人気で、和歌山を代表するお寺ではないでしょうか。西国三十三カ所の第二番札所にもなっており、巡礼で訪れる人も多いです。
私がこのタイミングで行っておきたい!と思ったのは、今年2020年は、紀三井寺の秘仏本尊がご開帳される年で、今まさにその期間中だからです。しかもこのご開帳は、50年に一度だけという、特別なもの。50年後はまあ行けないだろうし(生きているかも分かりませーん!)、ぜひとも今回見ておかなければ!と、足を運んだのでした。
私は電車で訪れました。JR紀三井寺駅から、徒歩10分かからないくらいだったかな。
見所満載の大きなお寺で、とても充実の散策でした!写真も多めです。
いかにも古くからありそうなお土産屋さんが数件並ぶ参道を通り抜けると、楼門が迎えてくれます。
石柱には「紀三井山護国院」とあります。正式名称は「紀三井山金剛宝寺護国院」なのですが、紀三井寺の名の方で知られています。
正式には「紀三井山金剛宝寺護国院(きみいさんこんごうほうじごこくいん)」という当時の名称を知る人は少なく、全国に「紀三井寺」の名で知られていますが、この紀三井寺とは、紀州にある、三つの井戸が有るお寺ということで名付けられたといわれ、今も境内には、清浄水(しょうじょうすい)、楊柳水(ようりゅうすい)、吉祥水(きっしょうすい)の三井より清水がこんこんと湧き出して、年中絶えることがありません。
(紀三井寺公式HP「 紀三井寺の歴史>紀三井寺の概観」より)
奈良時代の770年、唐僧の為光上人によって開基。今年2020年に開創1250年を迎えた、救世観音宗のお寺です。
↑楼門横には、「ざんげと招福の水場」なるものが。
そして、ちょっとした階段を上ると、受付があります。拝観料200円(大人)をここで支払い、いざ境内へ。
↑受付の向かいには、迫力ある閻魔大王像が。昨年(2019年)建立されたばかりの、新しい像です。
しかし、楽してすぐには仏様を拝めません。なぜなら、閻魔大王様の先には、ドーン!
↑地上から231段、ここ(閻魔大王像)から210段の、長い階段を上らないといけないからです👀
とはいえ、ただの階段ではありません。この坂は「結縁坂(けちえんざか)」と呼ばれ、逸話があります。
「江戸時代の豪商・紀ノ国屋文左衛門は、若い頃にはここ紀州に住む、貧しいけれど孝心篤い青年でした。ある日、母を背負って紀三井寺の表坂を登り、観音様にお詣りしておりましたところ、草履の鼻緒が切れてしまいました。困っていた文左衛門を見かけて、鼻緒をすげ替えてくれたのが、和歌浦湾、紀三井寺の真向かいにある玉津島神社の宮司の娘「おかよ」でした。これがきっかけとなって、文左衛門とおかよの間に恋が芽生え、二人は結ばれました。
後に、文左衛門は宮司の出資金によって船を仕立て、蜜柑と材木を江戸へ送って大もうけをしたのでした。紀ノ国屋文左衛門の結婚と出世のきっかけとなった紀三井寺の表坂は、それ以来「結縁坂」と呼ばれるようになりました。」(紀三井寺公式HP「紀三井寺の歴史>紀三井寺のエピソード」より)
ということで、縁結びにもご利益があるかも??
↑部分ごとに名付けられています。ここは「女厄除坂」。「男厄除坂」もありました。
↑最後は、「還暦厄坂」。
231段の階段を下から目にした時は、きつそうだなと思ったのですが、上ってみるとそれほど疲れず。上りやすい階段でした。とはいえもちろん、元気なお子さま達にはかないませーん。この日は日曜日ということもあり、家族連れの参拝客も多かったです。
↑階段の両脇にも、実はいろいろな見所があります。これは、紀三井寺の名前の由来となった、三井水。
↑こちらは、清浄水。これと楊柳水、吉祥水の三つの湧水が、三井水と呼ばれています。
231段の階段を上った先には、眺めの良い景色が待っていました。
↑目の前には海が広がります。秋晴れにも恵まれて、気持ちいい景色が見られました。
↑お地蔵様と、空と海と山。
↑「マスクをつけましょう」のマスクを着けています。
↑こちらが本堂です。江戸時代、1759年建立。まずはこちらでお参りと、この日一番の目的である、50年に一度しかお目にかかれない秘仏拝観へ。
↑本堂。たくさんの人がお参りに来ていました。
左手側には納経所があり、御朱印はそちらでいただけます。
↑秘仏拝観受付にて。少し並びました。拝観料は大人1000円で、記念品がいただけました。マスク着用必須、検温もされ、内部が込み合わないように人数を調整しての入場です。
2020年の特別ご開帳は、春と秋に開催。春はもう終わり、秋のご開帳は12月20日までです。
しかーし!12月20日までに行けなかったとしても、実はもう一度だけチャンスがあります。「特別よみがえり御開帳」の実施が決定されました。めでたい!
これは、今年の春、コロナ禍の緊急事態宣言を受けて中断された日程分を、そのまま来年に繰り越して開催されるというものです。2021年4月8日から5月29日まで。お寺の配慮がありがたいです。
詳しくはこちら→http://www.kimiidera.com/pdf/20201028.pdf
受付から先は撮影禁止です。本堂の仏様に手を合わせ、本堂のさらに奥にある大光明殿へと進みます。
なんとも神聖で厳かなその空間には、五体の仏像が鎮座されていました。中央には秘仏御本尊の十一面観世音菩薩立像と、千手観世音菩薩立像。その両脇に、梵天立像、帝釈天立像、毘沙門天立像。
50年に一度しかお目にかかれない貴重な仏像を目の前にしたあの空間のあの空気は、とても不思議なものでした。
コロナ対策のため長時間の滞在はできず、見たらすぐに退出しなければならなかったのが残念でした。もっと見ていたかったな。それでも、あの短い時間の凛とした空気と、全身の感覚は、忘れられないものになりました。拝観して良かったです。
秘仏拝観を終え、すでに胸いっぱいで満足してしまった私ですが、紀三井寺の境内には他にも見所がたくさん。
↑本堂の隣にある、霊宝堂・大願洞。地下には、救世観音像と、西国三十三カ所の観音像が祀られています。
ここ、知らずに通り過ぎそうになりましたが、行っておいた方がいいです!これまでの長い年月、数えきれないほどの参拝者が願い事を書いて収めた祈祷しゃもじが、壁にぎっしりと飾られているのです。暗い地下に安置された仏像、そして壁一面を埋めるしゃもじ。びっくりしました。小さな子どもは怖がるんじゃないかと思います。
この不思議な感覚、ぜひ味わっていただきたい(笑)。入館は無料です。
↑霊宝堂の外には、最近できたばかりのエレベーター。行きは頑張って231段の階段を上ってきたから、下りは楽に帰りたい!という人はこちら。私は利用していません。
↑修行大師像。
↑本堂の前には、鯉が泳ぐ池と極楽橋。
↑本堂の右奥の階段を上った先には、重要文化財の多宝塔があります。室町時代、1449年建立。
↑鐘楼。隣にある像は、幸福観音ですって。
↑幸福観音の紹介。敗戦後中国に残され亡くなった人々の冥福を祈り建てられたのですね…。
↑上に「弘法大師」とあります。大師堂です。
↑六角堂。
↑文塚という、ハガキの形をした、面白い石像がありました〠
↑こんな所に、中日友好の碑も。目立たない場所にありましたが、中国に数年間住んでいた身として、なんだか思うところがあります。
↑とりわけ目立っているのが、この大きな新仏殿です。2002年竣工。納骨堂でもあるのですが、中に足を踏み入れてびっくり。
↑新仏殿の前には、こんなお賽銭皿が。
新仏殿に入ると、目の前には…
↑金色にまばゆく輝く、巨大な観音様!
高さ12mの、大千手十一面観世音菩薩像。まぶしいです。フラッシュなしでの撮影はOKでした。
↑231段の階段を上ってすぐの所にある、天空かふぇ。時間があれば、入ってひと休みしたかったです。
見所たくさんの境内を後にし、また231段の階段を降ります。
↑階段途中にある塔頭、瀧本院。波切不動を祀っています。
水に浸す「水みくじ」があり、人気のようでした。こちらでも、御朱印がいただけます。
↑こちらも階段の途中にある、身代わり大師。
↑身代わり大師に、こんなユニークな絵馬が。きゅうりの形の「胡瓜封じ」です🥒
そしてこちらには、書置きの御朱印がありましたが、今回はいただかず。
本堂の納経所では、何種類もの御朱印帳が用意されていました。
御朱印帳を新しく買うつもりはなかったのに、こちらに目を奪われて…お迎えしました(^^)
↑創建1250年記念の、梵字の御朱印帳です。素敵なデザイン!ローマ字表記なのも珍しくて。
この1250年記念梵字御朱印帳は、黒×金のデザインもありました。
↑いただいた御朱印です。右が紀三井寺の本堂にて、「救世殿」と書かれています。左の「波切不動」は、階段途中にあった瀧本院でいただきました。
50年に一度公開の秘仏に出会うことができたし、境内は見所が多く、とても充実した時間を過ごさせてもらいました。
紀三井寺は桜の名所でもあり、近畿地方では特に早く桜が開花するお寺として知られています。次はぜひ、桜の季節に来てみたいな🌸