自分の中で韓国ドラマNo.1!『ミセン‐未生‐』
韓国ドラマ『ミセン‐未生‐』を、Amazonプライムで観終えました。
大手商社を舞台にしたお仕事ドラマ。すっっごく、面白かったです!!!
今まで観た韓国ドラマの中で、と言ってもそれほどたくさん観てはいないけれど、一番好きです。めちゃくちゃ良かった。名作でした。
って、これ、2014年のドラマなんですね。もっと早く出会いたかった!
『ミセン‐未生‐』(2014年韓国)
原題:미생
出演: イム・シワン、イ・ソンミン、カン・ソラ、カン・ハヌルほか
Amazonプライムでの視聴ページはこちら↓。全20話です。
Amazon.co.jp: ミセン-未生-(字幕版)を観る | Prime Video
日本でもリメイクされましたが、そちらは観ていないため比較できません。日本のドラマは基本観ないので、今後も観ないと思います。
*****
26歳のチャン・グレ(イム・シワン)は、子供の頃から囲碁のプロ棋士を目指していたが挫折。高卒で定職にも就かないまま、バイトばかりしていた。ある日、見かねた母が、ツテで大手総合商社ワン・インターナショナルのインターンの機会を手に入れてくる。インターンとして働き始めたグレだったが、周りは大卒のエリートだらけ。学歴も経験もないグレは、周りから訝しがられながらも、真摯に仕事と向き合っていく。
*****
「ミセン」とは、囲碁の用語で、「弱い石」という意味だそうです。
↑主人公のチャン・グレ。高卒の26歳、社会経験なし。このグレが、大学生が憧れる大手総合商社のインターンになったことが一番の奇跡だったんじゃないかと思います。
しかし、周りは大卒のエリートたち。同期のインターン生も、先輩や上司も、厳しい学歴社会を勝ち抜いてきた者ばかりです。英語ができるのは当たり前で、大半がマルチリンガル。一方、グレは英語も話せません。実務に生かせるスキルもありません。コピーの取り方も、電話の対応も分からない。
グレは、自分が”できない”ことを誰よりも自分が分かっていました。自分には足りないものだらけ。だから、誰よりも努力する。
周りに「コネ入社」と疎ましがられていたグレですが、その真摯に仕事と人に向き合う姿勢が、徐々に実を結んでいきます。
そして、グレにしかできない持ち味は、囲碁の経験を生かすこと。囲碁を通して教わった戦略や教訓が、仕事や人間関係にも生かせることに気づき、そこからヒントを得たアイディアや発想で周囲を驚かせます。
チャン・グレが良いのはもちろんですが、このドラマの人の描き方が本当に素晴らしくて。皆人間味にあふれているし、キャスティングがハマりすぎていて、「こういう人いるいる!」って思わずうなずいてしまいそうな会社の人間模様をうまく表現していました。
チャン・グレが配属される営業3課の上司、オ課長(イ・ソンミン)→後に次長に昇進 と、キム代理(キム・デミョン)、そしてグレのチームワークが最高です。
オ次長が、すごく良いんですよね。バリバリの仕事人間、ワーカホリックな商社マンで、課長→次長という中間管理職ですが、上にこびへつらうことは大嫌い。だからこそ、社内政治には不器用な面があって、出世が遅かったりするのですけど。部下や同期を大事にし、人の良いところは素直に認める。正義感のとても強い人物です。
そんなオ次長も、家に帰れば奥さんに頭が上がらなくて、3人の息子が可愛くて仕方ない子煩悩。奥さんも元はバリキャリだったのに、子育てのため仕事を辞めた経緯もあって、仕事のできる女性をちゃんと認め尊敬しています。このドラマでは、セクハラやパワハラについても描かれていますが、女性を見下す男性社員が多い中で、オ次長はとことん紳士でした。同僚だけではなくて、契約のための接待が必要な時でも、”一次会の後の、女性を伴う接待”は、いくら契約のためとはいえ何が何でも行きたくない。接待を回避するために策を練る営業3課、笑えるシーンでした( ´艸`)
キム代理もすごく良い先輩でした。グレの同期の新入社員たちが、先輩との関係に悩む中、オ次長とキム代理という良い先輩に囲まれて、グレは厳しいながらも恵まれていたと思います。
このドラマのすごいところは、やはり、サラリーマンの奮闘ぶりをとてもリアルに描いているところだと思います。「こういう上司・先輩いるいる」「こういうことあるある」「ああ、分かるー!」と思わずうなずいてしまう場面の多いこと。刺さるセリフもたくさん出てきます。
とはいえ、私は商社で働いたことも、韓国で働いたこともありません。それでも、ものすごく共感するんですよね。会社という組織で働くことの複雑さ。会社が世の中の全てではないのに、会社という小さくて大きなハコの中で、大勢の人間が汗水たらして奔走している。それが、カッコよくもなく、わざとらしくもなく、すごく寄り添って描かれていると思いました。
そして、もちろんこれが韓国の会社員の全てを代表しているとは思いませんが、やはり日本ととても似ている。韓国の方が学歴社会で競争が厳しいとは聞きますし、違いはもちろんたくさんあるとは思いますが、似ているなぁと思いながら観ていました。これが、アメリカのドラマなんか観ていると、やっぱり違うなぁと思うものなのですけどね。そうそう、中国は中国で、また日韓とはちょっと違うんだよなぁ。
セクハラ、パワハラ、上司や先輩との距離感、ワーキングマザーの苦悩、契約社員と正社員の待遇差、社内政治の複雑さ、デスクワークと現場との温度差、など、さまざまなトピックがふんだんに盛り込まれていて、1話から最後までずっと飽きませんでした。
まあ、2014年のドラマなので、まだ旧態依然とした会社も多いでしょうけれど社会全体として少しずつ働き方が変わってきたのを感じる今の日本からすると、「やりすぎ」と思えるシーンもいくつかありますけれどね。
グレの同期である新入社員たちも、それぞれの悩みを抱えながら少しずつ成長していく様子が良かったです。
チャン・ベッキ(カン・ハヌル)はこれまでエリートコースを歩んできたが、配属先で先輩から雑務ばかり振られる毎日。もっと大きな仕事がしたいという気持ちばかりが焦り、先輩との距離も縮められず、営業3課で実力をつけるグレを見て嫉妬心を募らせていきます。
新入社員で紅一点のアン・ヨンイ(カン・ソラ)。インターン期間中に億単位の契約を勝ち取り、一番期待の新入社員でした。英語もロシア語も堪能。そんな彼女が配属された資源課は、上司も先輩も明らかに女性を見下す厳しい環境。ヨンイは「女だから」と理不尽なパワハラを受け続け、実力を発揮できずにいました。
ハン・ソンニュル(ピョン・ヨハン)は、お調子者の情報通。親族にブルーカラー労働者が多いため、工場など現場で働く人たちを尊敬しています。それゆえ、現場を知らずにオフィスから指示ばかり出す人が嫌い。配属先では、仕事を押し付けてばかりで成果を横取りする先輩に悩まされ、なんとか仕返しをしようと試みるも、毎回失敗しています。
先輩や上司への接し方に悩んだり、言いたいことが言えなかったり、同期同士で仕事後飲みに行き、愚痴を言い合うのがちょっとしたはけ口になったり。自分が新入社員だった頃を懐かしく思い出しながら観ていました。
私個人は今、大きな会社で働いてはいないのですが、会社という組織の中で働いていた時のことを思い出しながら観ていました。
会社に属さない働き方も良いけれど、また会社で働くのもいいな、なんて思ったりもします。若い時にオ次長みたいな上司に出会えていたら、人生変わっていたかもな、なんて。
組織で働く、または働いたことのある全ての人に、おすすめできる良作だと思います。
また観返したい、大好きなドラマになりました(*^-^*)