楊冪(ヤン・ミー)主演、障がいを持つ赤ちゃんを助けたい…。映画『宝貝児』
中国きっての人気美人女優の一人、楊冪(ヤン・ミー)主演の映画『宝貝児』を観ました。宝貝児(宝贝儿)は英語でBaby。
楊冪にはあまり興味がなかったのですが、著名な映画監督である侯孝賢(ホウ・シャオシエン)がプロデューサーとして参加しているということで、興味をそそられました。日本未公開です。
『宝貝児』(2018年中国)
監督:劉傑(リュウ・ジエ)
出演:楊冪(ヤン・ミー)、郭京飛(グオ・ジンフェイ)、李鴻其(リー・ホンチー)ほか
中国語版の予告ムービーがYouTubeにありました。
生まれながらの障がいを持つ江萌(ジァン・モン、楊冪)は、幼いころに両親に棄てられ、養母に育てられた。病院で清掃員の仕事を始めた江萌は、その病院で自分と同じ障がいを持つ赤ん坊を目にする。赤ちゃんは手術を必要としていたが、父親である徐(シュー、郭京飛)は治療を諦め、赤ちゃんを退院させてしまった。
手術すれば治療できる。自分が生き証人だから。そんな思いを抱え、赤ちゃんを救いたい一心で探し出し、連れ出そうとする。警察や父親にも訴えかけるが、江萌の思いは誰にも届かず…。
全編を通して、静かに、薄暗い空気をまとったような映画でした。
あまり期待せずに観たのだけれど、中国における障がい者の実情にスポットが当てられたのは、社会問題として考えさせられる部分も多くありました。
障がいを持って生まれ、親に棄てられる子どもたち。
働きたくても働き口がない。健康状態を理由に採用してもらえない。職につけたとしても所得格差は深刻。
それでも、江萌を支える聾唖の小軍(李鴻其)をはじめ、障がいを持つ若者同士が助け合う様子は一筋の光が見えた感覚になりました。
さらに、江萌と老いた養母の関係は最初冷めているかのように見えましたが、江萌が養母に「私を引き取ってくれてありがとう」と養母に言葉をかけるシーンでは、グッときてしまいました。
社会から差別を受けて生きる者たちの苦悩。江萌が出会った、親に棄てられた赤ちゃん。
社会問題を提起するメッセージを感じる映画でした。
そういえば、以前北京で訪れた串串香のお店では、耳の聞こえない聾唖の方々がスタッフとして生き生きと働いていました。お店のコンセプトがすごく良いなと感動してしまったっけ。
ただ、このようなお店はまだまだ少ないです。このような側面では見えてこない、働きたくても働けない障がいを持つ人たちがまだまだ大勢いるのだと思います。
楊冪はドラマに映画に化粧品のイメージキャラクターにと引っ張りだこの、中国を代表する美人女優。
その彼女が、本作では地味な身なりで、美貌を一切隠し、ひたむきな貧しい女性を演じていました。そしてこの映画の舞台は南京。楊冪も南京語を披露しています。
何年も前に、出演ドラマ『北京愛情故事』で拝金主義の女性を演じているのを観てから私の中でイメージが良くなかった彼女ですが(笑)、ちょっと印象が変わりました。
こちら↓でたくさん画像が見られます~。