『東京女子図鑑』のリメイク版中国ドラマ『北京女子図鑑』に共感が止まらなかった
※2021/3/27追記※
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中国ドラマ『北京女子図鑑』を観終えました。
日本のドラマ『東京女子図鑑』の中国リメイク版です。『東京女子図鑑』は観ていませんが、中国でかなりの反響を呼んだことは知っていました。中国で話題になった当時は私も北京に住んでいて、中国人同僚女性から「このドラマ知ってる?今中国で人気なの」と言われたことがあったっけ。
その『東京女子図鑑』にインスパイアを受けて、『東京女子図鑑』の版権を購入し中国リメイク版『北京女子図鑑』『上海女子図鑑』が制作されました。上海の方はまだ観ていませんが、この後観てみます。
「東京女子図鑑」のリメーク版が若者に共感(中国) | ビジネス短信 - ジェトロ
地方(四川省)出身の女性が、大学卒業後北京に移り住み、大都会でもがきながら進んでいく姿を描いたドラマです。主人公の陳可(チェン・クー)は85年生まれという設定で、私と同じ年。そして、北京に移り住んだ2008年から2018年という10年間を描いています。
YouTubeでは、ドラマを制作した優酷(Youku)の公式チャンネルが全話無料で配信中です。太っ腹でありがたい!
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『北京女子図鑑』(2018年中国)
出演:戚薇(チー・ウェイ)、魏大勲(ウェイ・ダーシュン)、呉越(ウー・ユエ)ほか
1話約30分×全20話なので、気軽に観やすいのも嬉しいです。中国ドラマってとにかく話数が多くて、50話超えも普通ですからね〜。
日本語字幕はありません。が、もちろん中国語字幕はついているので、中国語の勉強にももってこいです。また、仕事や恋愛、若者の意識など、現代の中国社会を垣間見ることができるという点でもおすすめです。
四川省で生まれ育ち、大学卒業後北京に移り住んだ陳可依(チェン・クーイー、戚薇)。コネもお金もない世間知らずの女の子だった陳可依が、都会で仕事に奮闘し、恋愛に傷つきながら大人になっていく10年間を描きます。
2008年から2018年、20代から30代へ。北京に来てから、陳可依は自分を陳可と名乗るようになります。「依」の文字を取ったのは、過去に頼らず、前を見て自分の足で生きていくんだという気持ちからだったのかな。下の記事で、脚本を手掛けた張佳氏はこのように述べています。重要なのは、人は前を見て一歩を踏み出すこと、それまでの安心感は全て捨て去るのだ、と。
“我原来的作品都是偏少女造梦,女主角的名字从‘陈可依’到‘陈可’,这也是我自己创作理念的体现,我把‘依’字也去掉了,我抛弃了以前少女造梦式的固有模式,我预测到了这次转型的作品可能会大赞,也可能会被大骂或不理解,这都不重要。重要的是,人要往前走就要跨出那么一步,把之前的安全感都去掉。”
(以下ややネタバレ含みます)
10年の中で、陳可の環境も、そして自分自身も大きく変わります。
北京に来て最初の仕事は、小さな会社の受付。その後転職を繰り返し、実力を付け、部下を持つまでになります。都会でキャリアアップを重ねるキャリアウーマンの姿。
自分で稼ぐようになり、生活の質も変わっていきます。最初は同郷の友人と、地下室の小さな部屋でルームシェアをしていましたが、その後何度も引越しをします。
偽物じゃなくて、本物のルイ・ヴィトンのバッグが欲しい。自分の家が欲しい。
そして、付き合った男性たち。うまくいかずに何度も傷ついて泣いて、そのくせ平気な振りをして。
そんな陳可の姿が、決して大げさではなくて、淡々と、リアルに描かれていたのではないでしょうか。都会で頑張る多くの女性が、陳可の姿に自分を重ね合わせてしまうのではないかと思います。
↑第1話。北京に上京(=北漂)したばかりの陳可。ここからどんどん、時が経つにつれて、外見も変わっていきます。
陳可は85年生まれで、私と同じ年です。そして、私も地方出身、大学卒業後に就職で東京に移り住みました。 東京で4年半働いた後、海外転職で中国に行き、2014年から2019年にかけて北京で過ごしました。
同じ年であることと、「地方から都会へ出てきた」ことと、「北京で数年過ごした」こと。国籍は違うし私はイチ外国人として北京にいたので異なる点は多々あれど、これらの共通点から、陳可に自分を重ね合わせることも少なくありませんでした。昔の自分を見ているようなちょっと恥ずかしい気持ちにもなりつつ(笑)。
都会で働くこと、憧れと現実のギャップへの戸惑い。
仕事で出会うたくさんの人たち。本音と建前、世渡り、人付き合い。経験するたくさんの失敗。新人だった自分がいつの間にか年を重ねて、部下を持つ立場になったこと。稼いで好きなものが買えるようになった。でも家は買えないし、地に足がついていない感じがずっとしている。
恋愛だってそこそこ経験した。でもいつもうまくいかない。そうこうしているうちに、周りの同世代の友人は皆結婚して子どもを産んでいる。
離れて暮らす、故郷の親は老いていく。都会で孤独を感じた時、ふと親の温かみが身に染みる。離れてからやっと分かる、故郷への気持ち。
…などなど、「わかるなぁ」と共感するポイントがたくさんありました。国は違っても、同じように悩み、もがいて生きているんですよね。
さらに、私が中国で出会った、同僚や仕事関係で出会った女性たち。彼女たちの姿を思い出し、重なって見えました。
そして、北京が舞台のドラマなので、もちろん北京の風景がたくさん出てきます。見慣れた北京の一つ一つのシーンがもう懐かしくて、北京にいた当時のことを思い出して、なんだか無性に懐かしくて涙が出そうになってしまいました(笑)。
一時期住んでいた三里屯&工体。そしてオリンピック公園、798芸術区、国貿、東三環路…。特に、最終話(第20話)で流れる、北京の光景を切り取ったカットが次々と映し出されるシーンはすごく良かった。あれだけで懐かしさで泣けてくるよ(笑)。
あの活気、にぎやかさ、日々刻々と変わりゆく風景、エネルギーとスピード。良いことも嫌なこともたくさんあったけれど、いつも刺激に満ちていた北京生活、大好きでした。
主人公の陳可を演じた戚薇(チー・ウェイ)さんはとても美人です。彼女も陳可と同じ四川出身、そして1984年生まれ。ややハスキーな声も素敵で、演技も自然でリアルだし、とても好感が持てました。
他に印象的なキャラクターは、陳可の憧れの女性的存在である、上司の顧映真(グー・インジェン)です。陳可に優しく、しかし失敗すればしっかりと叱責する、頼れる上司。こんな女性の先輩が職場にいたらなぁと思えるような人物でした。
演じる呉越(ウー・ユエ)は、ドラマ『我的前半生』で主人公の夫の不倫相手役の印象が強かったのですが、打って変わって強く頼もしい、それでいてしなやかでエレガントな女上司を颯爽と演じていたように思います。
北京は間違いなく自分を成長させてくれました。もちろん、その前に住んでいた上海も東京も、だけど。
ドラマに出てきたこの言葉を、大切に取っておきたいです。
感谢曾经的我
感谢北京