元・ふわふわ北京日和

約6年半中国で働き、2019年4月に本帰国。北京で出会った愛犬ぽー(トイプードル×ビションフリーゼ)が相棒★中国暮らしを懐かしみつつ、日本にいながら日々思うことを。

NYの20代女子のリアルな生態をさらけ出したドラマ『GIRLS / ガールズ』

アメリカのHBO制作ドラマ『GIRLS / ガールズ』をAmazonプライムで観終えました。

ニューヨークに暮らす、大学卒業後の4人の女の子の生態を赤裸々に描いています。

面白かったなぁ。NYで4人の女性を描いたドラマと言ったら、同じHBO制作の言わずと知れた『セックス・アンド・ザ・シティ』(以下「SATC」)を思い浮かべてしまいますが、「SATC」のように働く30代女性がおしゃれなファッションに身を包み颯爽と街を歩く、夢と憧れに満ちたものでは決してなくて。

この『GIRLS / ガールズ』(以下「GIRLS」)に出てくる登場人物たちは皆、仕事も恋もうまく行かなくて都会をさまよっているような人たちばかりです。SATCのようなキラキラ感は、はっきり言って皆無です。

それが妙に、生々しくてリアルで、痛々しくもありました。華やかさはないけれど、時々胸が締め付けられるような、グサグサと心に突き刺さるような。そんな正直さが、なんだか愛おしく思えるような脚本でした。

 

※以下、画像をクリックするとAmazonページに飛びます。 

『GIRLS / ガールズ』全6シーズン(2012~2017年米)

出演:レナ・ダナムアダム・ドライバー、アリソン・ウィリアムズ、ジャマイマ・カーク、ゾーシャ・マメットほか

 

ハンナ、マーニー、ジェッサ、ショシャンナの4人の女の子を中心に描かれるストーリー。

4人が4人とも、性格は全然違うけれどとにかく自己中です。皆それぞれ自分勝手で、他人に気を遣えなくて、わがままで、他人に厳しいくせに自分には甘々で、お子ちゃまで。

ドラマとしては面白いけれど、私、彼女たちのこと好きになれないなって思いました。ドラマのわりと後半まで、嫌いでした。面白く観ているドラマの主要キャラ皆好きになれないってどうなの(笑)。

…それなのに。終盤、特にシーズン6のラスト数話のエピソードは、切なさでたまらなくなってしまいました。終わってみたら、嫌いだった彼女たちのことが憎めなくなっていて、嫌悪感はすっかり消えているどころか好きになっていました。

 

このドラマは、大部分が主人公ハンナを演じたレナ・ダナムの実体験に基づいているそうです。レナ・ダナムは20代前半にして、制作・脚本・主役の一人三役をこなしています。すごい!だからここまでリアルに、繕わずにさらけ出すことができたのかな。

ハンナはぽっちゃり太めの体型で、これまでのよくあるスタイルの良いヒロイン像とはかけ離れています。でも、よく脱ぐ。全くためらいなく服を脱ぎ、生々しいベッドシーンも多いです。ハンナに限らず、裸のシーンやベッドシーンが多い。ドラマでこんなに見せていいの?って、多少驚きましたが、観ていると慣れてきます。これも彼女たちの生態だから、どこまでもさらけ出す。これもドラマの大事な要素なのだと。

ぽっこりお腹に肉付きの良い太もも、むっちりした腕に大胆に入れたタトゥー。何の惜しげもなく見せられたハンナの体に視聴者は戸惑いますが、これも彼女の自己表現だったのかな。もちろんハンナは、自分の体形やルックスに対してずっとコンプレックスを抱いてきました。そのコンプレックスを隠さないことで自分を受け入れていたのかもしれないね。

 

●主な登場人物●

ハンナ(レナ・ダナム

作家志望。自己中でわがまま、思ったことはすぐ口に出すタイプ、トラブルメーカー。大学卒業後、出版社で無給のインターンをしていたが、親から仕送りを止められたため上司に昇給を求めるが断られ解雇される。その後、有名雑誌「GQ」で広告記事ライターになったり、大学院に進学したり、学校で文学の講師になったりしながら、書くことを続けていく。

物書きの才能には溢れているのに、世渡りが下手で、周りの人間とことごとく上手く行かない。GQで働くことになっても、自分の意見を率直に言いすぎて同僚へのリスペクトは全くないどころか彼らの仕事を見下したり、大学院に進学しても周りの生徒をけなしたり、とにかくチームワークには向いていない(本人も好んでいないが)。体だけの関係だったアダムと徐々に本気で付き合うようになる。

ハンナの性格や個性は、かなり付き合う人を選びます(笑)。私はきっと、ハンナのような子とは友達関係を続けられないだろうなって思っちゃいます。でも、不器用で周りに迷惑をかけまくりながら、自分に嘘をつかずに生きていくハンナが、最後は好きになっていました。

 

マーニー(アリソン・ウィリアムズ) 

ハンナの大学時代からの親友で、ハンナとルームシェアをしている。アートギャラリー勤務を解雇され、その後はラウンジのホステスを経て音楽の道に進む。美人で真面目だが、結局は自分中心。他人の欠点を批判し、自分の至らなさを他人のせいにしがち。ダメ男を好きになる傾向がある。

最初は、ハンナに比べかなりまともに見えたマーニーが一番好きなキャラでしたが、どんどん嫌いになっていきました(笑)。でも、最後は見直した。友情を一番分かっていたのはマーニーだったのかな。

 

ジェッサ(ジャマイマ・カーク)

ハンナとマーニーの大学時代からの友人。自由奔放で大胆、細かいことは気にしない性格。放浪癖があり、世界を旅して戻って来てから従姉妹のショシャンナと同居する。定職にはつかず楽観的。ドラッグにも手を出している。美人でやたら色気がありモテる。面倒なことが嫌いで、問題が起こると我関せず、すぐに逃げようとする。

ちなみに上の画像で抱っこしている赤ちゃんは、ジェッサの子ではなく、これは子守をしているシーン。

演じるジャマイマ・カークは、『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』のヒロインを演じたローラ・カークの実の姉なんですね! よく似た美人姉妹です。ローラはとっても普通な女の子に見えたけれど、ジャマイマの方が個性的で雰囲気がありますね。

 

ショシャンナ(ゾーシャ・マメット)

ジェッサの従姉妹。登場した時は大学生。SATCに憧れている。早口で相手の表情を読まず、ベラベラと喋りがち。大学卒業後就職した会社で東京勤務を命じられ、シーズン5では日本で働く。

私は、ショシャンナが一番成長したと思います。まあ一番若いし。日本での経験が彼女を成長させたと思える描写が、なんだか嬉しかったな。友達や人間関係も見直すタイミングがきて、自分のためにならない友情とは決別する勇気を持った子です。それもまあ、自分勝手と言えばそうなのだけれど。でもこういう人付き合いをしていたら、自分が本当につらい時に助けてくれる友達、いなくなっちゃうよね、とも思えますが、まだ若い彼女はこれから新たな人間関係を築いていくことだと思います。

上の画像の男性は、ハンナの元彼で親友のイライジャ。

 

アダム(アダム・ドライバー

ハンナと体の関係を続けていたが、本気の付き合いになる。俳優志望。優しいが激高するとよく暴れる。

一見不釣り合いのようなハンナとの関係でしたが、本当はものすごく相性が良かったのだろうと思います。ハンナとアダムの感情の揺れ動きも見どころです。

今はハリウッドで引っ張りだこ、出演映画が途絶えない人気俳優のアダム・ドライバーですが、このドラマが始まった時はまだ無名でした。アダム・ドライバーを一躍有名にした出世作と言えるのでは。この時から存在感が抜群で、人を惹きつける魅力があります。カッコいい。

 

チョイ役でもこれまでドラマで見たことのある人たちがちょこちょこと出てきました。 

マーニーの母親役には、『グッド・ワイフ』にも出ていたリタ・ウィルソン。夫はご存じトム・ハンクスですね。シーズン2でハンナを見出し仕事を依頼する編集者デヴィッドも、『グッド・ワイフ』に出てきた超曲者の犯人役の人。ジェッサの厚生施設の責任者は、『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』のベティ役の人。シーズン3でハンナが働くことになる有名雑誌「GQ」編集部の同僚を演じるマイケル・ゼゲンは、『マーベラス・ミセス・メイゼル』のジョール。そしてシーズン3で登場するハンナの従姉妹レベッカは、『グッド・ワイフ』『グッド・ファイト』のマリッサでした。

 

シーズン5の東京ロケでは、ショシャンナの相手役で水嶋ヒロが出演していました。日本(東京)の描き方は、いかにも外国人から見た日本という感じでイマイチ残念でしたが。でも、東京生活を経てショシャンナが変わったのは間違いなく、そこは日本人としてなんだか嬉しいです。

 

ネタバレは書きませんが、シーズン6のエピソード9と10(最終話)は特に、すごく良かったです。切なくて、でも吹っ切れたような、そんな感じ。

最終話を観終えてから、トレイシー・チャップマンの「Fast Car」が頭からしばらく離れません。

「Fast Car」の余韻が、何とも心地良い後味を残してくれました。あの終わり方は賛否両論あるようですが、私は良かったよ。

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決して、キラキラ憧れのNY生活を描いたドラマではなく、見ていてイライラすることも多いです。それだけリアルで、真っ向からさらけ出した脚本に心を揺さぶられました。

女子(という年齢ではもうないが、私)はいろいろ面倒くさい、けれど面白い!