元・ふわふわ北京日和

北京住み→日本に本帰国。現在は中国に関係あったりなかったりの気ままなブログ。

音楽が明日への元気をくれる、『はじまりのうた BEGIN AGAIN』

Amazonプライム始めました。

最近は、中国映画やドラマなら、中国の動画サービスかYouTube(たくさんアップされています!)で観て、

洋画やアメリカのドラマをAmazonプライムで観ています。観たいものがありすぎて困る困る。

 

レビューが良くて観てみたこちらの映画。キーラ・ナイトレイは好きでも嫌いでもなく、あまり期待せずに観てみたけれど、これがとっても良かった。

『はじまりのうた BEGIN AGAIN』(2014年米)

監督:ジョン・カーニー

出演:キーラ・ナイトレイマーク・ラファロアダム・レヴィーンほか

Amazon.co.jp: はじまりのうた BEGIN AGAIN(字幕版)を観る | Prime Video

 

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ミュージシャンの彼氏と共にイギリスからNYにやってきたグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、彼氏の浮気が原因で失恋してしまう。失意のグレタは、友人のストリートミュージシャンに誘われ、気が進まないままライブハウスで歌っているところを、音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)にスカウトされる。しかしダンは落ち目で資金もなく、NYの街角でレコーディングを敢行することに…。

*****

 

あまり期待せずに観てみたけれど、とても良かった。

グレタ、そして落ち目のおじさんプロデューサーのダン、そして周囲の人たちが、音楽と共に変わりゆく姿に元気をもらえました。

ハッピーエンドではなくて、まさしく「Begin Again」。新しいはじまり。このタイトル、すごく良いな。観終わった後も心地の良い余韻が包んでくれます。

挫折しても、つまずいても、悩んでも。前に進もうと踏み出すきっかけをくれる。映画のパワーですよね。

 

キーラ・ナイトレイはこれまで特に好きでも嫌いでもなかったけれど、この映画を観て良い意味で印象が変わりました。こんなに素敵な歌声の持ち主だったんですね。

そして、彼氏のデイヴを演じるのはなんとMaroon 5アダム・レヴィーンMaroon 5ファンにはたまりませんね。彼のライブシーンもすごく良いです。

マーク・ラファロも良かった。妻とは別居し、仕事は上手くいかないダメおじさんが、グレタの歌声を聞いてからNYの街角でレコーディングをするようになり、良い物を作ることへの情熱と才能を発揮する。いつの間にかカッコいいおじさんになっていました(笑)。

 

音楽がテーマの映画ということで、全編を通して彩る音楽が秀逸です。映画を観た後にももう一度聴きたくなります。

↑こちらはオリジナルサウンドトラック。(画像をクリックするとAmazonページに飛びます) 

 

 

 

 

挫折を味わった大人の恋愛と再起を描く中国ドラマ『好先生』

とっくに観終わっていたけれど、まあまあ面白かったドラマ『好先生』を前回の中国ドラマまとめ記事↓に入れ忘れていました。

minghuabj.hatenablog.com

 

2016年放送、全42回のドラマです。出演は孫紅雷(スン・ホンレイ)、江疎影(ジァン・シューイン)、王燿慶(ワン・ヤオチン)、車暁(チャー・シャオ)、張藝興(レイ)、関暁彤(グアン・シャオトン)など。主な舞台は上海。

baike.baidu.com

 

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陸遠(ルー・ユエン、孫紅雷)は恋人の甘敬(ガン・ジン、車暁)の留学に伴いアメリカのシアトルへ渡った。

現地でレストランに就職し、雑用から始めるも才能を発揮し、ミシュランシェフにまで上り詰める。

しかし、ある事件が起こり、甘敬に何も言わず失踪した。事件の影響で舌の味覚まで失い、職も失った。自暴自棄になった陸遠は、酒とギャンブルに溺れるようになる。

ある日、酔った陸遠をレストランの同僚で親友の彭海(ポン・ハイ)が車で送っていた時、車が追突され、彭海は亡くなった。

彭海には、一人娘の彭佳禾(ポン・ジァーハー、関暁彤)がいた。陸遠は彭海の遺灰を中国に持ち帰るため、佳禾と帰国する。

上海では佳禾の祖母が一人で暮らしていた。祖母は痴呆症を患っており、陸遠を息子だと勘違いしてしまう。行く当てのない陸遠は、佳禾と祖母と3人で暮らすことに…。

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陸遠の恋愛、彭佳禾たちとの関係、そして陸遠自身の過去からの立ち直りと行く末。見所が多く、全42話と長いものの面白く観ることができました。

 

陸遠は本当に、「ダメな奴」なんです(笑)。いい歳した大人なのに、シアトルでの甘敬との別れから何に対しても自暴自棄になってしまって。私も全く共感できずに冷めた目で見ていましたが(笑)、決して悪い人ではなくて憎めなくて、実は愛すべき(?)キャラクターである陸遠を、ベテラン俳優の孫紅雷が自然に演じ切っていたように思います。

そして、注目すべきは、彭海の残された一人娘である彭佳禾でしょう。父子家庭で育ち、ちょっとグレていても父親のことが大好きだった年頃の女の子。父親を亡くし、親の愛情に飢え、父親の死は陸遠のせいだと憎み、それでも徐々に陸遠と打ち解けていきます。

そんな彭佳禾を演じる関暁彤は演技がとてもうまく、私は何度か泣かされましたよ…(^-^; 助演女優賞あげたいです(笑)。

関暁彤は子役出身で、鹿晗(ルハン)と付き合っていることでも有名。が、私はルハンはどうでもよくて(ファンの方すみませんー!)、演技派のこれからが楽しみな女優さんとして注目したいです。

 

陸遠に付きまとう美女・江莱(ジァン・ライ)役の江疎影は、本当~に綺麗な女優さん。中国ではスワロフスキーのイメージモデルにもなっていました。綺麗で気の強そうな、これぞ中国の美人女優さん、という感じの女性です。私は…それほど好きではないのですが(^-^;

陸遠の同級生で甘敬の現恋人の江浩坤(ジァン・ハオクン)を演じる王燿慶は、『創業時代』『職場是箇技術活』にも出ていました。どれも社長役。ビジネスエリートの役に呼ばれやすいのでしょうね、似合っています。

 

上海ロケで、上海のおしゃれな風景もふんだんに写されていますよ~。

大人の中国現代ドラマで面白いものを探している人には、おすすめできるドラマかな、と思います。

 

 

 

【中国語】HSK6級と中国語検定2級の勉強を始めました

中国語の検定試験と言えば、グローバルで見れば圧倒的にHSKが評価されますが、

日本ではまだまだ日本独自の検定試験である「中検」こと中国語検定も健在のようです。

英語で言うTOEICHSK、英検が中検に相当するようなものでしょうか。

 

HSKは、北京で5級を取ってから早くも2年以上が経過してしまいました(きゃー!)。

6級も受けようと思いつつ、テキストだけ買ってずっと勉強を後回しにしていた状態です…💦 

minghuabj.hatenablog.com

今は比較的時間があるので、再奮起して6級の勉強を再開。

しかし、5級と6級の差は大きいです。リスニングと筆記は問題集をやり込めばなんとかなるかもしれませんが、作文がとんでもなく手ごわそうです。ヒー!

 

そしてここで、初めて中検にもチャレンジしようと思って同時に勉強を始めました。履歴書にも書けそうだし(笑)。まずは確実に2級合格を目指します。

一通り模擬試験を解いてみたら、HSK5級レベルがクリアできていれば、2級はやや簡単に感じました。リスニングは比較的ゆっくり、しかも2度読まれるのでラッキーです(笑)。中国ドラマの会話のスピードに慣れている人には余裕かと。

ただし、HSKと違った問題のクセがあり、対策を練っておかないと痛い目にあいそうなので、ちゃんと勉強はしないといけませんね。2級の合格ラインはリスニング・筆記各70点以上と高めになっており、決してあなどれません。

Amazonでこのテキスト↓を買いました。HSK6級と並行しての勉強であれば、中検2級のテキストは1冊やり込めば大丈夫そうです。

※画像をクリックするとAmazonページに飛びます

 

f:id:minghuabj:20190724155352j:image

HSKのテキストは、北京の外文書店で買ったもの。問題も解説もオール中国語なので鍛えられます(笑)。5級も同じシリーズのテキストを使い、とても良かったので。あ、ブログではお久しぶりの愛犬ぽー、元気ですよ〜🐶

 

中検2級は、11月の試験を申し込む予定です。

www.chuken.gr.jp

HSK6級は、直近だと9月なのですが、勉強が間に合うかどうか自信なし💦9月か10月に受けたいと考えています。

www.hskj.jp

 

学習中の方、一緒に頑張りましょう~!

 

 

 

これまでに観た中国の現代ドラマ(ちょっと古め中心)。中国語学習にもぴったり!

これまでも、ブログで中国ドラマの鑑賞記録を残していますが、

ブログを始める前に観たものや、記事を書きそびれていたものがたくさんあるので、ここでまとめてみました。全て現代ドラマです。歴史ドラマはありません。

日本で放送または配信されたものは少ないです。が、ドラマは中国語のリスニング教材としてもかなり役に立つので、興味と機会があればぜひ、中国語字幕でチャレンジしてもらいたいものばかり。

日本でも人気の歴史ドラマは、日本でも放送・配信される作品がどんどん増えていますが、現代ドラマはまだまだ少ないですね。

ちなみに、ここで挙げるドラマは全て、中国にいた時に中国の動画サービスで鑑賞しました。優酷(Youku)、愛奇藝(Aiqiyi)、騰訊視頻など。

日本では、これら中国の動画サービスで観られないものもあり、そういう時はYouTubeで結構観られたりします。YouTubeすごい…。

 

なお、私の個人的な好み具合により、おすすめ度の高い物とそれほどでもなかったもの(笑)に分けてみました。

個人の好みなので、人によって合う合わない、好き嫌いが分かれるかとは思いますが、

いろいろな感想があるのが当たり前だと思うので、あくまでも参考程度にしていただけると嬉しいです。

下記に挙げた以外のドラマの記事は、「海外ドラマ(アジア)」カテゴリーにまとめてあります。

※画像があるものは、クリックするとAmazonページに飛びます 

 

●おすすめ度高!

『愛情公寓』1~4 (2009年~2014年)

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出演:陳赫(チェン・フー)、婁藝瀟(ロウ・イーシャオ)、孫藝洲(スン・イージョウ)、李金銘(リー・ジンミン)、鄧家佳(ダン・ジァジァ)、王伝君(ワン・チュアンジュン)ほか

私が初めて見た中国ドラマで、大好きでハマりました。アメリカの国民的人気ドラマ『フレンズ』のパクリとも言われていて(笑) 、確かにとてもよく似ています。中国ドラマでは珍しい、シットコムとも言える、かな?

中国の若者の笑いあり涙あり、テンポの良いコミカルな会話も面白い。登場人物はメインキャストを中心に、シーズンによって多少入れ替わりがあったり新キャラが出てきたりします。恋愛模様にもハラハラさせられます。

私のお気に入りキャラは、女性メンバーの胡一菲(フー・イーフェイ、婁藝瀟)。美人で気が強いけれど抜けている所があって憎めなくて。

そして特筆すべきは、やっぱり日本人キャラでしょう!関谷君という日本人キャラがメインキャストの一人なのですが、実際に演じているのは王伝君という中国人の俳優さん。しかも関谷君は、日本から来た漫画家で、中国語を頑張って習得しペラペラだけどちょっと話し方が変(笑)という、ユニークなキャラ設定。中国の現代ドラマで日本人キャラが中心人物の一人だなんて、なんだか嬉しく観ていました。

現在、シーズン4までで止まっているけれど、あれで完結なはずがない!ので、シーズン5を心待ちにしているのですが、なかなか放送されませんねぇ…。

中国ドラマ入門編としても、気軽に観られておすすめの一作です。 

 

『蝸居』(2009年)

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出演: 海清(ハイチン)、張嘉譯(ヂャン・ジァーイー)、文章(ウェン・ジャン)、李念(リー・ニエン)ほか

これは本当に面白かった。経済発展を遂げる中国上海の街角で、必死に生きる人々の様子がリアルすぎると大人気に。そして、官僚の汚職などについても描かれたためか、テレビドラマは放送打ち切り・再放送禁止になったという問題作でもあります。ただし、DVDや動画配信サービスなどではちゃんと最終話まで観られます。

ドラマ自体は2009年と、今から10年前の古い作品ではありますが、今見ても面白いと思います。原作は、六六(リュウリュウ)という作家による小説。私がこれを知ったのは、私が上海に来たばかりの2012年に、この本の日本語翻訳版が『上海、かたつむりの家』のタイトルで出版されたからです。

この本が周りで話題になって、私も本を借りて読みました。そして、ドラマ化されたことを知り、ドラマでも観てみたのでした。

日本語翻訳版はこちら↓。本も面白いのでぜひ。

タイトルの「蝸居」は、文字通り「かたつむりの家」。すなわち、小さい家です。大都会上海(ドラマでは上海がモデルの都市)で、かたつむりの家を抜け出し夢のマイホームを手に入れるため、つつましく暮らす夫婦。普通のOLだったが官僚に見初められ、不倫にはまっていく妻の妹。姉妹を取り巻く人たち。日系企業の描かれ方も結構痛いところをついています(笑)。

大卒なのに余裕のない生活に苦しむ人たち、マイホームを買うことへの執着と苦労、不倫、夫婦問題、官僚の汚職など、中国が抱える問題がたくさん。見所と学ぶところの多い作品です。

 

『北京愛情故事』(2012年)

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出演:李晨(リー・チェン)、陳思誠(チェン・スーチェン)、張譯(ヂャン・イー)、楊冪(ヤン・ミー)、佟麗婭(トン・リーヤー)、張歆藝(ヂャン・シンイー)ほか

これもハマったなぁ。大都会北京で生きる、6人の若者を描いたストーリー。友情と恋愛に揺れまくり、かなりドロドロ感もあります。

改めてみるとキャストも豪華。メインキャストの6人は、もはや中国ドラマや映画に欠かせない人たちですね。

まだ初々しい楊冪、このドラマで拝金主義の女性を演じているのを観て印象が悪くて(笑)。今は幅広い作品で活躍し、立派な中国を代表する女優となっています。

そして、田舎から北京に出てきた純朴な女性を演じる佟麗婭が本当に可愛い。下に挙げた『星に誓う恋』、最近では映画『超時空同居』も良かったです。佟麗婭と陳思誠は、このドラマがきっかけで結婚しました。

 

『裸婚時代』(2011年)

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出演:文章(ウェン・ジャン)、姚笛(ヤオ・ディー)、張凱麗(ヂャン・カイリー)ほか

中国で大ヒットしたドラマ。これを観て、主演の姚笛の魅力にハマりました。

若いカップルが、貯金無し、家無し、車無し、指輪無し、結婚式無しで入籍のみの結婚をする=「裸婚」が話題となりました。

中国では、男性は結婚するために家と車がなければ認められないとされてきたので、この「裸婚」は、特に親世代にはかなり衝撃的なことだったのではないかなと思います。

しかし、最初はつつましい暮らしで幸せでも、その幸せを長く続けるのは難しくて、若い二人はさまざまな問題に直面します。それぞれの義実家との付き合いの難しさも。

 

文章は上の『蝸居』にも出ていました。姚笛は『新恋愛時代』『結婚為什幺』、そして下に挙げた『失恋33天』『功夫之愛的速逓』など。そして、2人は文章が既婚者にも関わらず(妻は『我的前半生』などの女優の馬伊琍)不倫してしまい、大バッシングを浴びたスキャンダルでも有名です。

 

『咱們結婚吧』(2013年)

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出演:黄海波(ホアン・ハイボー)、高圓圓(ガオ・ユアンユアン) 、王彤(ワン・トン)、張凱麗(ヂャン・カイリー)ほか

2013年の大ヒットドラマ。タイトルは直訳すると「私たち結婚しましょう」。

32歳の楊桃(ヤン・タオ、高圓圓)は、4つ星ホテルでフロアマネージャーをしているキャリアウーマン。しかし、いい歳して未婚という理由で、ホテルと雇用契約を継続してもらえない羽目に。

36歳の果然(グオ・ラン、黄海波)は、役所で離婚届の手続きを担当する公務員。こちらは結婚に夢が持てない結婚恐怖症。

この2人が出会い、結婚します。

そして中国ドラマではお決まりのように、結婚までの道のりも、結婚してからも、さまざまな問題が起きます。これは上の『裸婚時代』でもそうでしたが、日本人からするとちょっとびっくりな中国人特有の(特に親以上の世代の)価値観がたくさん描かれていて、おいおい…とツッコみたくなりながらも勉強になります(笑)。

32歳なんてまだまだ若いのに、「剰女」(余った女)と言われ敬遠されるとか。(失礼な!)姑の異様な息子愛ゆえのバトルとか。結婚したらすぐに子どもを産めと親たちにうるさいくらい急かされ、食事まで細かく管理され…などなど。

日本でもまだ昔ながらの考え方の親世代は多いし少なからずこういう問題はあると思うのですが、中国は一人っ子政策の影響もあり、そのような親の干渉が日本以上にかなり大きいです。もちろん、中国でも考え方は多様化しているので、少しずつ変わってきているのかもしれませんが。

 

このドラマはもう、ヒロインを演じた女優、高圓圓の魅力がたっぷり発揮された作品ですね。ナチュラルな美しさは好感度が高くて、この頃中国人男性の「好きな女性芸能人」で高圓圓の名前を挙げる人が多かったように記憶しています(笑)。映画『単身男女』にも出ていました。

ヒロインのお母さん役の張凱麗は、『裸婚時代』でも姚笛演じるヒロインのお母さんを演じていました。結婚適齢期の娘を持つおせっかいな母親役が多く、ハマっています。

 

『歓楽頌』『歓楽頌2』(2016年~2017年)

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出演:劉涛(リュウ・タオ)、蒋欣(ジァン・シン)、王子文(ワン・ズーウェン)、楊紫(ヤン・ズー)、喬欣(チャオ・シン)、王凱(ワン・カイ)、靳東(ジン・ドン)ほか

こちらも非常に人気だったドラマ。中国在住の日本人で観ている人も多かったように思います。大都会上海でさまざまな悩みを抱えながら生きる、5人の女性が主人公。多くの同世代の女性の共感を呼びました。

「歓楽頌」という名前のマンションの22階。一室では、地方出身の3人の女性がルームシェアして住んでいる。同じフロアの角部屋には、アメリカ帰りのキャリアウーマンが引っ越してきた。反対側の角部屋には、留学帰りの金持ちわがままお嬢様が引っ越してきた。

5人の女性たちの友情と成長を描くストーリーです。

単なる女の友情ドラマではなくて、彼女たちの生い立ちや周囲の環境などから、現代中国社会の問題も描かれていて、深みがありました。特に、田舎の貧しい男尊女卑の家庭で生まれ、貧乏コンプレックスから人一倍お金とメンツに執着するOL、樊勝美(ファン・シェンメイ、蒋欣)のキャラ設定からは、そのような社会問題へのメッセージが込められているようにも思いました。

もちろん彼女たちの恋愛模様も描かれます。

このドラマで蒋欣のファンになり、他のドラマもいくつか見てみました。『継承人』『盲約』『凡人的品格』など。

そして、私が中国人で一番カッコいいと思っている(笑)俳優、楊爍(ヤン・シュオ)と、イケメン人気者の王凱という『大江大河』コンビも出演しています。

 

『離婚律師』(2014年)

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出演:呉秀波(ウー・シウボー)、姚晨(ヤオ・チェン)、張萌(ヂャン・モン)、方中信(ファン・ジョンシン)ほか

律師(律师)は中国語で弁護士のこと。すなわちタイトルは、離婚弁護士

やり手の若手女性弁護士で離婚裁判専門の羅鸝(ルオ・リー、姚晨)と、エリート弁護士の池海東(チー・ハイドン、呉秀波)が主人公。池海東は妻(張萌)が自分の不在中に若い男を家に連れ込み不倫をしていたのが原因で離婚をしますが、自分の離婚裁判で妻側の弁護をした羅鸝に負けてしまいます。敵対する2人ですが、徐々に惹かれあい…というラブコメ

姚晨の魅力満載のドラマでした。姚晨が苦手な人は厳しいかも(笑)。しかしストーリー全体もアップダウンがあってコミカルで、飽きずに楽しめました。

そして、このドラマは北京で多くのシーンのロケが行われています。姚晨が住むマンションは、東四環路の慈雲寺エリアにある外国人の多い某サービスアパートメントですね~、見てすぐに分かりましたよ。 池海東の弁護士事務所は、CCTVの目の前だし。見慣れた風景がたくさん出てきたのも楽しめました。

姚晨は、このドラマを観たときは正直それほど好きなわけではなかったけれど、他の作品をいくつか観て、実力派の良い女優さんなんだなと思うようになりました。映画『找到你』など。

呉秀波は、中国人でダンディといったら私の中でこの人。映画『北京ロマンinシアトル』『北京遇上西雅図之不二情書』なども面白かったです。

 

『今夜天使降臨』 邦題『今宵天使が舞い降りる』(2013年) 

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出演:馬蘇(マー・スー)、李小冉(リー・シャオラン)、劉涛(リュウ・タオ)、李晨(リー・チェン)ほか

友人同士の3人の女性が、妊娠をきっかけに悩み成長していくストーリー。『天使的城』も同様に、3人の女性の妊娠にまつわるストーリーですが、同じ監督の別のお話で、両作品に繋がりは全くないです。

邦題があるように、日本でも放送されました。

個人的に、馬蘇の中国語はとても聞き取りやすいと思っていて、中国ドラマにハマった初期の頃に彼女の出演作を好んで観ていました。親しみやすそうな雰囲気も好きです。

 

『失恋33天』(2013年)

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出演:姚笛(ヤオ・ディー)、張黙(ヂャン・モー)、張博(ヂャン・ボー)、沈佳妮(シェン・ジァーニー)ほか

ブライダル会社で働く黄小仙(ホアン・シャオシエン、姚笛)は、4年付き合っている彼氏が、自分の親友と浮気し失恋する。失恋から立ち直れず友情も失った失意の黄小仙。おまけに職場では、同僚のイヤミな男、王一揚(ワン・イーヤン、張黙)といがみ合う毎日。

しかし、王一揚との距離が縮まるにつれ、彼の優しさに惹かれていく。そして、自分を裏切った親友と元彼を許すことができる日がくるのか。

「失恋からの33日」を通して、黄小仙が少しずつ成長していく様子にとても好感が持てました。王一揚のひねくれキャラも良かったです。ラストの終わり方も良かったなぁ。

 

●その他こんな作品も

『双城生活』(2011年)

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出演:馬伊琍(マー・イーリー)、塗松岩(トゥー・ソンイェン)ほか

「双城」とは2つの都市、ここでは北京と上海を指します。

北京出身女性と、上海出身男性のカップルのストーリー。北京と上海、私はどちらにも住みましたが同じ中国でも全く違った性格の都市で、お互いに対してライバル意識を持っている人も少なくありません。日本でいうと東京と大阪に似ているのかも?

県民性(というか、どちらも市なので市民性?)も全く違います。上海男性は特に優しいことでも有名。まあ、尻に敷かれるわけですが…(笑)。

このカップルも、恋愛を経て結婚し子どもが生まれるのですが、お互いの親を巻き込みさまざまな壁に直面します。

ドラマなのでもちろん、多少大げさな感じは否めないものの、中国一、二の大都市の違いなども分かってなかなか面白く鑑賞しました。

それにしても、男性の名前が「徐嘉惠」って…。読み方は「シュー・ジァーフイ」。上海屈指の繁華街エリアである「徐家匯」と同じ発音です。そこ掛けてどうする(笑)。

 

『恋恋不忘』 邦題『星に誓う恋』(2014年)  

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出演:言承旭(ジェリー・イェン)、佟麗婭(トン・リーヤー)ほか

ジェリー・イェンのファンは日本にも多いので、日本でも放送されたのかな。確かにカッコいいですね~。

私は、『北京愛情故事』でファンになった佟麗婭が出ているから観てみたのですが。

財閥の御曹司と、シングルマザーの女性のラブストーリーです。個人の好みですが、私はキラキラ系(?) ラブストーリーはあまり好きではないので、中国語学習と可愛い佟麗婭のために観ていました(笑)。

 

『何以笙簫黙』 邦題『マイ・サンシャイン~何以笙簫黙~』(2015年)

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出演:鐘漢良(ウォレス・チョン)、唐嫣(ティファニー・タン)ほか

これは、日本の華流ドラマファンにも人気の高いドラマですよね~。人気作っぽいから観てみたのですが、上の『星に誓う恋』と同様ガチなキラキラ系ラブストーリーが苦手なのと、唐嫣演じるヒロインに全く共感できず、個人的にはイマイチでした。(あくまでも個人の好みの問題です。好きな方すみません)

とか言いながら、映画版も観ましたが(笑)。映画はドラマ以上に面白くなかったです…。

 

現在Amazonプライムでも配信中です。

Amazon.co.jp: マイ・サンシャイン 何以笙簫默(字幕版)を観る | Prime Video

 

『北京青年』(2012年)

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出演:李晨(リー・チェン)、馬蘇(マー・スー)、杜淳(ドゥー・チュン)、王麗坤(ワン・リークン)、姚笛(ヤオ・ディー)ほか

北京出身の4人の青年、何東、何北、何南、何西は堂兄弟(父方の従兄弟)。仕事や夢に悩み、さらに彼らそれぞれの恋愛模様も描きながら進むストーリーです。

まあまあ面白く最後まで観ましたが、印象は薄いかなぁ。何北(杜淳)の彼女役の姚笛がとっても可愛かった。女性陣は皆美人で目の保養になりますが、男性陣はそこまで…なんだよなぁ(笑)。

 

『AA制生活』(2012年)

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出演:李小璐(リー・シャオルー)、馬蘇(マー・スー)、任重(レン・ジョン)、曹炳琨(ツァオ・ビンクン)ほか

若い2組の夫婦を描くストーリー。「AA制」とは、中国語で「割り勘」のことです。夫婦生活に割り勘を取り入れるものの、まあお決まりのようにいろいろと問題が起きます。

これも馬蘇が出ているから観てみたけれど、最初はあまり入り込めなくて途中観るのをあきらめかけました。それでも見続けていたら、後半はまあまあ面白く観られたかな。

 

『新閨蜜時代』(2014年)

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出演:張歆藝(ヂャン・シンイー)、蒋欣(ジァン・シン)、童瑶(トン・ヤオ)ほか

親友同士の3人の女性が主人公。仕事に恋に友情に悩み前に進んでいくストーリーです。舞台は大連。

『北京愛情故事』などの張歆藝、『歓楽頌』などの蒋欣、『大江大河』などの童瑶。主人公3人の女優さんは綺麗で可愛いのに、このドラマの最大の残念ポイントは、男性側にカッコいい人がいないことです。なぜこんなキャスティングになったんだろう…と思ってしまいました。もっと他にいたでしょ!と(笑)。

ちなみに、タイトルの「閨蜜」(闺蜜)とは、女性の親友を指します。中国語のテキストには出てこないけれど、女の子の日常会話では本当によく使われますよ~。

 

『非縁勿擾』(2013年)

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出演:蘇有朋(アレック・スー)、秦嵐(チン・ラン)ほか

大企業の董事長で毒舌の男と、結婚しない主義のOLのラブストーリー。お互いなかなか素直になれなくて、やっと幸せを掴めたと思ったらまさかの悲劇が待ち受けていて…。

『咱們相愛吧』での美しさに見とれた秦嵐が主演ということで観たのですが、うーん、内容にツッコミどころが満載でストーリー展開もわざとらしさが目立ってしまって、残念ながらイマイチだったかなぁ。

 

功夫之愛的速逓』(2016年)

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出演:杜淳(ドゥー・チュン)、姚笛(ヤオ・ディー)ほか

『北京青年』でカップルを演じていた杜淳と姚笛が再共演。出稼ぎの快递の配達員の男性と、ダンス講師で男勝りの性格の女性が主人公です。

これも、ストーリー展開がなんだかわざとらしいと感じる部分が多くて。とか言いつつ先が気になり、姚笛は可愛いし、全部観ましたけどね。ヒロインの親友であるシングルマザーの女性が、一番まともで良いキャラクターでした。

今中国で欠かせない存在である、快递の配達員にスポットを当てたのは良かったと思います。

 

『北上広不相信眼涙』(2015年)

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出演:馬伊琍(マー・イーリー)、朱亜文(ジュー・ヤーウェン)ほか

タイトルの「北上広」とは、北京、上海、広州の頭文字を取った呼び方です。中国の大都市の総称としてよく使われる呼び方で、今は深圳を加えて「北上広深」という言葉もよく聞きます。

広州に暮らす若い夫婦が主人公で、妻は上海出身、夫は北京出身。

妻の勤める会社に、失業した夫が内緒で採用面接を受け、採用されます。仕事への影響を避けるため、会社では夫婦だということを隠して同僚になった二人。さまざまな邪魔者が入り、夫婦の行く末はどうなる…というお話です。

お仕事ドラマは好きなので好んで観ます。これもまあ面白かったけれど、印象は薄く無難かな、という感じでした。

 

以上、これまでに観たドラマをまとめてみました。

人気の歴史ドラマに比べ、現代ドラマはなかなか日本で放送・配信されているものが少ないですが、面白い作品あり、中国語の学習にもぴったりなので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

私もまだまだ面白いドラマ探していきます~!

 

 

 

高校生の悲惨な校内いじめを扱った中国映画『悲傷逆流成河』(悲しみは逆流して河になる)

高校生のいじめをテーマにした中国映画、『悲傷逆流成河』を観ました。

悲しくて残酷で、やりきれくて、救われなくて。

でも、中国は日本ほどいじめがないとばかり思っていたので、いじめや校内暴力を告発するこの映画を観て少しでも知ることができ、観てよかったです。

 

『悲傷逆流成河』(2018年中国)

監督:落落(ルオルオ)

出演:任敏(レン・ミン)、超英博(チャオ・インボー)ほか

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予告編がYouTubeにありました。

www.youtube.com

日本未公開です。中国語字幕で鑑賞。

原作は郭敬明(グオ・ジンミン)という83年生まれの作家による小説で、小説と映画は内容をところどころ変えているそうです。小説は、『悲しみは逆流して河になる』という邦題で日本でも出版されたとのこと。

というかこの郭敬明という作家さん、百度で調べてみたら、かなり想像と違う外見の方でびっくり!まるでアイドルのような容貌のお方です。こちら↓で見られます。

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易遥(イー・ヤオ、任敏)は女子高生。家は貧しく、シングルマザーの母親(鄔君梅)は家でマッサージ店を営みながらその日暮らしの生活をしている。ハンサムで成績優秀な人気者の斉銘(チー・ミン、趙英博)とは幼なじみで仲が良い。

ある日、美少女の唐小米(タン・シャオミー、朱丹妮)が転校生としてやってきて、たちまち人気者になる。斉銘に思いを寄せる唐小米は、易遥を目の敵にし、いじめが始まった。日に日にエスカレートするいじめ。そして悲劇が…。

 

もう、主人公の易遥が辛くて辛くて…。かかるはずのない性病にかかってしまい、そのことを唐小米に握られてからいじめが一層悪質になっていくのですが、見ていて本当にやりきれなかったです。その性病にかかった原因というのも、またやるせなくて。

どんなひどい目にあっても立ち向かおうとする易遥を応援する存在となる、男友達の顧森西(グー・センシー、辛雲来)が唯一の希望の光となっていたのですが…。

そして、いじめの主犯格である唐小米だって、転校前の学校ではいじめられていた側でした。(映画のわりと最初でいじめられるシーンが出てくる)いじめがいじめを生む、そして加担した者も傍観者も、加害者になることを辛辣に告発しているように受け止められました。

 

中国の高校生は部活や習い事ができないほど、朝から晩まで大学受験のために勉強漬け。日本のようないじめはないものだというイメージがありました。

が、映画のエンドロールでは、実際にいじめにあった人たちの声が紹介されていました。大人になっても決して忘れることのできない深刻ないじめが、中国にも存在していて、社会に問題告発を投げかけるという強い制作側の意思が表れているように思います。

エンドロールでは、各省の”いじめ相談ホットライン”みたいな行政の連絡先が表示されているのも新鮮でした。

 

主人公の易遥を演じた任敏をはじめ、若い俳優陣は皆良かったです。任敏さんは演技がとても上手く、ひきつけられました。そしてメインキャストの5人は皆美男美女、今後引っ張りだこになりそうです。

 

暗くて救われなくて、観終わった後も後味が悪くどんよりした気分になってしまう映画ですが、青春万歳~なお気楽ストーリーを観るよりだいぶ観る価値があると、個人的には思いました。

 

映画音楽についてもついでにメモ。

挿入歌の『再見青春』は、中国の有名なロック歌手汪峰(ワン・フォン)の曲のカバー。女性歌手が歌っています。

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個人的には上の『再見青春』よりも、主題歌の『如河』の方が気に入りました。歌っているのは女性歌手の張韶涵(アンジェラ・チャン)。サビが美しいです。

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周冬雨のデビュー映画『サンザシの樹の下で』を中国語字幕で観る

中国を代表する映画監督、張藝謀(チャン・イーモウ)に見いだされデビューし、今やトップ女優の仲間入りを果たした周冬雨(チョウ・ドンユィ)。

彼女のまさにデビュー作、『サンザシの樹の下で』は日本でも公開され多くの人に観られていますが、私はようやく中国語字幕で鑑賞しました。

 

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『サンザシの樹の下で』(2010年中国)

原題『山楂樹之恋』《山楂树之恋》

監督:張藝謀(チャン・イーモウ

出演:周冬雨(チョウ・ドンユィ)、竇驍(ドウ・シャオ)ほか

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中国の文化大革命の時代を背景にした、純愛ストーリーです。詳しいあらすじは上記リンクにて。

てっきり、同じチャン・イーモウ監督作であのチャン・ツィイーを世に送り出した『初恋のきた道』とかぶるんじゃないかと思っていたけれど、

これはこれでとっても良かったです。

王道の青春ラブストーリーかと思いきや、時代背景も絡まってシリアスさもあり。

周冬雨ちゃんのピュアな熱演に、ラストはしっかり涙を持っていかれたではありませんか…(^-^;

 

最近はすっかり大人の女性になりゆく周冬雨ちゃん、これがデビュー作だなんてすごすぎる。

演技とは思えないほどまっすぐで健気で透明で。特に美少女というわけではないのだけれど(失礼)、中から光る魅力があふれ出ている感じがします。

本当に、素人の彼女を見出したチャン・イーモウ監督の先見の明には恐れ入ります…!

そんなシンデレラガールのような周冬雨ちゃんですが、本作でデビューした後に、演劇の名門大学であり多数のスターを輩出した北京電影学院に合格し、卒業しています。ただのラッキーガールではなくて、ちゃんと努力と勉強を重ねて実力を付けたところにも好感が持てます。

(中国の俳優さんは、このように大学で演技を学んで卒業した人が多いです。だから演技が上手い人が多い。もちろん下手な人もいるけど。)

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ところで、中国映画やドラマを観る時は、私は中国語がある程度理解できるようになったので、できるだけ中国語字幕で観るようにしています。中国語の勉強のため、というのが大きな理由。

また、固有名詞をカタカナで表記することも多いですが、カタカナではちゃんと中国語の音を表せないですもんね。「n」の音も「ng」の音も、同じ「ン」になってしまう。

そして、中国語に慣れた今だから言えるのかもしれないけれど、中国語の方がスッと入ってくる。たとえば人名でも、日本語字幕になるとどうしてもカタカナになってしまうのですが、同じような響きの名前も多いので特に登場人物が多いと混乱しがち。

さらに、例えばこの映画で周冬雨が演じる主人公の名前は「静秋」なのに、日本語字幕だとカタカナで「ジンチュウ」。「静秋」って漢字で表記するととっても素敵な名前だということが日本人の感覚でも見てわかるのですが、カタカナだと全くそれが分からなくなってしまって。もったいないなぁと思うけれど、中国語が分からない人のために日本語字幕があるのだから、仕方がないですね…。私も打開策は分かりません(笑)。

まあこれは、中国語に限らず英語でも他の外国語作品でもそうでしょうけれど、字幕には字幕の制限があって、どうしてもセリフを決められた文字数でいかに分かりやすく観客に伝えるかが勝負にもなってくるため、セリフから日本語字幕になる過程でかなり省略されてしまうのもやむを得ないこと。

だから、日本語字幕で観ると、「あ、だいぶ削ってある」と気付くことはよくあります。英語作品でも同じ。

そんな時は、セリフが聞き取れると逆に得した気分にもなります(笑)。もちろん、「こういう言葉をこう訳すんだな」という勉強にもなります。

 

私は洋画もアメリカのドラマも大好きで、楽しく外国語が学べて一石二鳥!中国に行く前からですが、邦画や日本のドラマはほとんど観なくなってしまったなぁ…。もう何年も、邦画や日本のドラマの話題作を耳にしてもついていけずに(いかずに?)います(笑)。

 

 

 

 

賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督が3つの時代を紡ぐ映画『山河ノスタルジア』

2015年の中国映画『山河ノスタルジア』を中国語字幕で鑑賞。

日本でも日本語字幕を付けて公開されました。

 

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『山河ノスタルジア(2015年中国・日本・フランス)

原題《山河故人》

監督:賈樟柯ジャ・ジャンクー

出演:趙涛(チャオ・タオ)、張譯(チャン・イー)、董子健(ドン・ズージエン)、張艾嘉(シルビア・チャン)ほか

日本公式サイト↓で予告編が観られます。※音が出ます

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日本のレビューサイトを見ると、まあ良くもなく悪くもなく、無難な評価が目立ちますが、

私はなかなか面白く鑑賞しました。

美男美女は一切出てこない、静かに時の流れを紡ぐ物語。そしてとっても、中国映画っぽい。

物語は1999年に始まり、2014年、そして2025年と3つの時代を紡いでいきます。

 

*****

舞台は中国内陸の山西省にある炭鉱の町、汾陽。

1999年。小学校教師の沈涛(シェン・タオ、趙涛)は、三角関係の末、実業家の張晋生(チャン・ジンシェン、張譯)と結婚し、息子の到楽(ダオラー)をもうける。

2014年。沈涛は離婚し、一人汾陽に残って暮らしていた。事業で成功した張晋生は到楽を連れ、上海へ引越し、再婚。到楽はインターナショナルスクールに通う。沈涛は父親を亡くし、葬儀に到楽を呼び寄せたが、張晋生たちがオーストラリアに移住するつもりだと知る。

2025年。オーストラリアで暮らす到楽(董子健)は19歳になっていた。母親の沈涛のことは覚えていない。しかし、母親と同年代の中国語教師ミア(シルビア・チャン)と出会ったことで、母親の面影を探り始める。

*****

 

1999年、汾陽で2人の男性から思いを寄せられ、明るくダンスが上手くキラキラしていた沈涛が、2025年に一人故郷で息子のことを思い続けながら老いていく。

離婚し、息子と引き離され悲しみは絶えなかったはずなのに、2025年の彼女の表情はなぜか幸せそうでもあったことがなんだか…。余韻がしばらく残りました。

 

個人的に印象的だったのが、

2025年のシーンで、海外暮らしの長い到楽は中国語が離せなくなっているのに対し、同居する父親の張晋生は英語が話せないまま。親子の会話は成り立たなくなっていて、到楽は父親と会話するためにミアを通訳として家に呼ぶほどでした。

子どもが小さいころから家族で海外に移住する。裕福になり、そのような中国人が本当に増えていますが、

親が現地の言葉を話せなくて、子どもが母国語を話せなくなってしまい、意思疎通ができなくなるケースって、実は結構あるのではないかと気づかされました。

親が子どもと十分なコミュニケーションを取れていればそんなことにはならないかもしれないけれど、

張晋生はお金第一になりすぎたあまり、到楽との時間や会話を疎かにしてきたのではないかな、と想像を巡らせてしまいました。

 

19歳の到楽を演じる董子健は、ドラマ『大江大河』で大活躍を見たばかり。

張晋生を演じる張譯は数々のドラマや映画に出ていますよね。映画『最愛の子』では、被害者家族の会のリーダー役でした。 

minghuabj.hatenablog.com

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あとは、登場シーンが少ないながらもシルビア・チャンの存在感は大きいですね~。 

 

1999年の田舎臭いながら急激な経済成長を思わせる中国、2014年の現代中国、そして2025年の未来。

中国に住んでいたせいもあるのでしょうが、なかなか興味深く観ることができました。

そして、これを観たらペット・ショップ・ボーイズの「Go West」が頭から離れなくなること間違いなしです(笑)。